2024年に成立した「改正子ども・子育て支援法」で、政府は「加速化プラン」として前例のない規模の少子化対策を打ち出しました。
「加速化プラン」では、2030年代に入るまでの6年間を少子化対策の集中取組期間とし、年最大3.6兆円規模の予算を投じる計画です。
この財源は、既定予算の最大限の活用や社会保障費の歳出改革に加え、公的医療保険制度を通じて徴収する「子ども・子育て支援金」によって賄われます。
そして「子ども・子育て支援金」は、2026年4月から、医療保険の保険料に上乗せされ徴収されます。
今回は、支援金の使い道として規定された「子ども・子育て支援法第71条の3」に基づく、6つの事業の内容について確認します。
1.妊産婦のための支援給付
妊娠・出産に伴う経済的な不安を解消し、伴走型の相談支援を制度化するものです。
「出産・子育て応援交付金」を制度化し、計10万円相当(妊娠届け出時5万円、出産届け出時5万円)の給付を継続的に実施。
自治体による継続的な面談や情報提供などの「伴走型相談支援」とセットで提供されます。
年間約70万人から80万人の全妊婦・子育て家庭が対象。
🔎 妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施|こども家庭庁https://www.cfa.go.jp/policies/shussan-kosodate
2.こども誰でも通園制度の開始
親の就労要件を問わず、未就園児が保育所などを利用できる制度です。
対象者は0歳6ヶ月から3歳未満(3歳の誕生日の前々日までのことを指す。)の未就園児。
利用枠としては月10時間を上限として開始されます。
ただし、各市町村の判断において、国の補助の対象となる「月 10 時間」を超えてこども誰でも通園制度を実施する場合があります。
🔎 こども誰でも通園制度について|こども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/daredemo-tsuen
3.児童手当の抜本的拡充
次世代を担う全ての子どもの育ちを支えるため、経済的支援の土台である児童手当が大幅にアップデートされました。
・所得制限の撤廃。これまで受給できなかった所得制限限度額以上の世帯(約100万人)も全額受給可能に。
・高校生年代までの支給期間の延長。支給対象を「中学生まで」から「高校生年代まで(18歳到達後の年度末まで)」に延長。これにより約300万人が新たに受給対象に。
・第3子以降の支給額増額(3万円)。第3子以降は月額30,000円に倍増。算定対象も「22歳到達後の年度末まで(大学生年代)」に延長されました。
🔎 もっと子育て応援!児童手当|こども家庭庁https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/mottoouen
4.雇用保険の出生後給付と育児時短給付
両親が共に育児休業を取得することの促進と、復職後の柔軟な働き方を支えるための制度が拡充されます。
・出生後休業支援給付。両親が共に14日以上の育休を取得した場合、休業手当の給付率を67%から80%(手取りで実質10割)へ引き上げ。
・育児時短就業給付。子どもが2歳未満の時期に時短勤務を行う場合、賃金の10%を上乗せ支給。
🔎 育児休業等給付について|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
5.育児期間中の国民年金保険料免除
自営業者やフリーランス等の国民年金第1号被保険者には、「産前産後期間」の免除制度はありましたが、育児期間まで延長されることとなりました。
国民年金第1号被保険者が育児休業等を取得する期間、国民年金保険料は免除されます。
免除期間は1歳未満の子を養育するために休業する期間。
免除期間は「保険料納付済期間」として計算されるため、将来の老齢基礎年金も減額されません。
6.子ども・子育て支援特例公債等の償還
支援金制度が本格稼働して満額確保されるまでの間、財源不足を補うために発行される「子ども・子育て支援特例公債」の償還(返済)に充てられます。
令和10年度以降、集まった支援金から順次返済(償還)が行われます。
また、子ども・子育て支援特例公債等の発行及び償還に関連する経費にも充てられます。
・子ども・子育て支援金は、こども未来戦略 「加速化プラン」の子育て支援策の財源となる。
・加速化プランの支援策に必要となる財源規模は、3.6兆円。うち、1兆円が子ども・子育て支援金により調達される。
・加速化プランによる支援強化により、こども一人当たりの給付改善額(高校生年代までの合計)は約146万円とのこと(こども家庭庁試算)。
以上
written by syaroshi-tsutomu
