雇用保険の失業手当(基本手当)は離職後の生活を支える重要なセーフティネットです。
政府は、2025年4月1日以降の離職から、自己都合退職の場合の給付制限期間を原則として1か月に短縮しました。
転職希望者の経済的な不安を軽減し、安心して転職活動をできるようにすることがねらいです。
また、学び直し(リスキリング)で給付制限期間を解除する新制度も2025年4月から開始されています。
今回は、失業手当の給付制限期間の該当条件(離職理由・失業手当受給回数)と、リスキリングによる制限解除について、確認します。
1.給付制限期間なし(待期7日満了日の翌日より支給)
待期期間とは、離職理由にかかわらず、全ての受給資格者に共通で適用される7日間の期間のこと。
本当に失業している状態であるかの確認のための期間です。
この待期期間満了後に、給付制限期間なしで失業手当を受給できるのは、「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」に該当する場合です。
「特定受給資格者」には、倒産や解雇等の会社都合退職が該当します。
「特定理由離職者」には、契約終了や育児・介護等の正当な理由のある自己都合退職が該当します。
詳細の範囲については、以下のページを確認しましょう。
🔎 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワークインターネットサービスhttps://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
2.給付制限期間1か月(待期7日満了+1か月経過日の翌日より支給)【2025年4月改正】
2025年4月1日以降の正当な理由がない自己都合による退職の場合は、給付制限期間が原則1か月となります。(退職日が2025年3月31日以前である場合は原則2か月です。)
ただし、「退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合」は、給付制限は3か月となります。
また、「自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合」も、給付制限は3か月です。
🔎 令和7年4月1日以降に離職された方は「給付制限期間」が1か月に短縮されます【PDF】|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001441564.pdf
また、法改正として、学び直し(リスキリング)で給付制限を解除する新制度も2025年4月から開始されています。
従来より、ハローワークが実施するハロートレーニング(公共職業訓練、求職者支援訓練)受講者については給付制限が解除されていましたが、2025年4月からは自ら教育訓練給付金の対象となる教育訓練を行った場合も給付制限が解除されることとなりました。
給付制限の解除にあたっては、受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までにハローワークへ申し出を行い、また、申し出の際には必要書類(訓練実施施設の証明書等)も必要となります。
詳細については、以下のページを確認しましょう。
🔎 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html
3.給付制限期間3か月(待期7日満了+3か月経過日の翌日より支給)
給付制限期間が3か月となるのは、「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)」又は「退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由無く自己都合退職し受給資格決定を受けた場合」です。
「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)」には、刑法犯に該当する行為、会社の業務命令や規則への重大な違反、故意または重大な過失による会社への損害などが該当します。
最後にまとめ。
・正当の理由のない自己都合退職による給付制限は、退職日が2025年4月1日以降である場合は、原則1か月となる(退職日が2025年3月31日以前は2か月)。
・2025年4月以降に教育訓練等を受ける場合は、給付制限が解除される制度が開始された。
・「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)」又は「退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由無く自己都合退職し受給資格決定を受けた」場合は、給付制限期間は3か月。
以上
written by sharoshi-tsutomu