たったの61組合?定年退職後の健康保険の選択肢。特例退職被保険者制度とは。

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健康保険組合は全国に約1400組合あります。

その中でたった61組合にしかない制度が「特例退職被保険者制度」です。

特例退職被保険者制度は、厚生労働省に認可された特定健康保険組合のみが行うことができます。

定年退職者の定年後の健康保険の選択肢は次の3つです。

①家族の健康保険の被扶養者になる。

②国民健康保険の被保険者になる。

③任意継続被保険者になる。

上記に加え、特定健康保険組合の被保険者で一定の要件を満たす場合は、

④特例退職被保険者になる。

の選択肢が加わります。

今回は、特例退職被保険者の加入要件やメリット・デメリットを確認します。

1.特定健康保険組合

はじめに特例退職被保険者制度を実施している特定健康保険組合を確認します。

厚生労働省の資料(平成26年11月7日第84回社会保障審議会医療保険部会)に記載された61組合は以下です。

古い資料です。

現在は、特定健康保険組合の認可が取消されていることもあるでしょう。

ご自身の加入されている健康保険組合のサイト等で制度有無を確認しましょう。

2.特例退職被保険者の加入要件

次に加入要件を確認します。

加入要件の原則は二つあります。

「長い勤続期間」と「年金を受給できること」です。

2-1.勤続期間

一つ目の「長い勤続期間」の具体的な期間は「20年加入又は40歳以降10年加入」です。

長いです。

終身雇用が前提の制度です。

2-2.年金受給権

二つ目の「年金を受給できること」の要件は少しやっかいです。

以前は60歳から老齢厚生年金を受給できたため、60歳定年後すぐに特例退職被保険者になることができました。

現在は、老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げにより、60歳で定年退職した場合は年金の受給開始年齢到達までの期間は、国保や任継に加入することが必要となります。

特例退職被保険者制度そのものが昭和59年に創設された制度で、老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げは平成12年の法改正で段階的な引き上げが決まっていますので、当時とは状況が異なります。

60歳定年では年金の支給繰上げをしない限り、国保や任継でつないでから特退(以降、特退と略します)に加入する必要が生じ、煩雑です。

勤続期間と年金受給権の他に、国内居住要件も必要となる健保もあります。

加入健保に加入要件の詳細は確認しましょう。

加入要件を満たしていなければ入れません。

3.メリットとデメリット

最後にメリットとデメリットです。

3つのポイントで比較します。「保険料」・「保険給付」・「保健事業」です。

・「保険料」

本人の年収に関係なく各健保組合で決定した額となりますので、本人の年収により国保と比較し割安(メリット)となることも割高(デメリット)となることもあります。

特退は配偶者を扶養者とすることもできますので、配偶者の保険料も含め、試算しましょう。

・「保険給付」

付加給付も充実している特退にすることで大きなメリットがあります。

・「保健事業」

健康診断の健保負担や保養所の利用等、特退にメリットがあるでしょう。


最後にまとめ。

・61組合しか実施していない制度であるから、利用できる人は利用する前提で検討する。

・年金支給開始年齢の引上げにより、定年退職後すぐに特退に加入できない場合がある。

・特退は保険給付の面では大きなメリットがあるが、保険料が国保と比べて割高となることもある。

終身雇用も終わり、労働力人口が確実に減少していくことから、特退は減ることはあっても増えることはありません。

入れる人はメリットとデメリットを勘案し加入を検討するとよいでしょう。

以上

written by suchika-hakaru

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