法定休日とは、その名の通り、法で定められた休日のこと。
労働基準法第35条に規定されています。
一方、所定休日(法定外休日)とは法定休日以外に、会社が任意に定めた休日のこと。
労働基準法第35条では毎週1日又は4週を通じ4日の休日が義務付けされていますが、労働基準法第32条の1週40時間を勘案すると、週1日の休みでは足りません。
そのため多くの会社が週休2日制となっています。
法定休日は日曜日と思っている人も多いですが、それは誤りです。
法定休日は会社が任意に定めることができます。
就業規則で曜日を特定することもできますし、曜日を特定しないことでも差し支えありません。
就業規則で法定休日の曜日を特定した場合は、当然に特定した曜日が法定休日となります。
1.就業規則で曜日を特定していない場合の法定休日
それでは、就業規則で曜日を特定していない場合の法定休日はいつとなるでしょうか。
厚生労働省のモデル就業規則(平成31年1月版)の休日の規定を参照します。
(休日)
第20条 休日は、次のとおりとする。
①土曜日及び日曜日
②国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
③年末年始(12月 日~1月 日)
④夏季休日( 月 日~ 月 日)
⑤その他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。
はい。曜日が特定されていません!
通常週であれば、モデル就業規則の規定では、土曜日と日曜日の週に2日の休みとなります。
モデル就業規則では、暦週の起算日も定めていませんので、暦週は通達に倣い「日曜日から土曜日まで」となります(昭和63年1月1日基発第1号)。
それでは土曜日と日曜日のいずれが法定休日となるのでしょうか。
厚生労働省の「改正労働基準法に係る質疑応答(平成21年10月5日)」では、同一週の土曜日と日曜日のいずれも出勤した場合の取扱いが掲載されています。
~改正労働基準法に係る質疑応答(平成21年10月5日)~
法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。
いずれも出勤した場合は「暦週の後順の日」を法定休日とする。で確定でよいでしょう。
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それでは、暦週の土曜日と日曜日の いずれかのみ出勤した場合は、どうなるか。
この場合はいずれの日を法定休日として取り扱うか明確な法規定や通達もありませんので、会社は任意に法定休日を定めることで差し支えないこととなります。
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土曜日と日曜日の連続出勤しても、土曜日が含まれる週の日曜日、日曜日が含まれる週の土曜日に出勤していないのであれば、いずれも法定休日としない運用が可能となります。
2.就業規則で曜日を特定していない場合の割増賃金
法定休日と所定休日では残業したときの割増率が異なります。
法定休日は135%、所定休日は125%で足ります。
週休2日制の会社で法定休日を特定しない場合は、同一週のいずれかの休日のみ出勤したのであれば、出勤していない日を法定休日とすることでも差し支えないので、従業員の出勤状況に応じ、可変させることができてしまいます。
が、実務が煩雑です。
実務担当者が各人の出勤状況を確認し計算作業をすることとなれば、割増率の低減効果より担当者の人件費の方が多くなるでしょう。
おすすめできません。
週休2日制の会社であれば法定休日は曜日を特定することが望ましいでしょう。
通達でも、法定休日は特定することが望ましいとされています。
~昭和23年5月5日基発682号/昭和63年3月14日基発150号~
法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい。
最後にまとめ。
・法定休日を特定するか否かは会社側の任意。
・法定休日の曜日を特定しない場合は法定休日の曜日を可変させる運用も可能。
・法定休日と所定休日では割増率が異なる。
・残業代の計算を勘案すれば法定休日は曜日を特定するのが望ましい。
以上
written by sharoshi-tsutomu