厚生労働省の就労条件総合調査(2015年)によると、通勤手当は91.7%の会社で支給されている最も一般的な手当です。
利用交通手段としては、自家用車(マイカー)利用の割合が最も高く、国勢調査(2000年)では44.3%(通学者も含む)となっています。
公共交通機関であれば定期代の実費を通勤手当の支給額、自家用車(マイカー)であればガソリン代相当額を通勤手当の支給額とすることが一般的です。
今回は、マイカー通勤者のガソリン代相当額の計算に必要となる4つの設定項目と計算例を確認することとします。
※ガソリン代をすぐに計算したい場合は、「3.ガソリン代の計算ツール」を参照ください。
1.ガソリン代の計算式
早速、ガソリン代の計算方法について確認します。
マイカー通勤者に支給するガソリン代の一般的な計算式は以下となります。
計算式は、4つの項目の組み合わせで構成されています。
①片道距離(キロメートル)
②勤務日数(日)
③ガソリン単価(円/リットル)
④燃費基準値(キロメートル/リットル)
それぞれの項目について参照指標や留意点を確認しましょう。
①片道距離(キロメートル)
マイカー通勤者の通勤手当の支給額は、課税額と非課税額にわける必要があります。
非課税限度額は片道距離に応じて設定されていますので、往復距離ではなく片道距離を従業員に届出させて管理することにしましょう。
🔎 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm
課税額を生じさせないよう片道距離に応じた非課税限度額を通勤手当額とすることでもよいでしょう。
悩ましいのが片道距離の計測の方法です。直線距離では実態よりも短くなりますので。
便利な時代となりました。
現在は、Yahoo地図、Googleマップ等のルート検索機能で簡単に距離を計測することができます。
例えば、「Yahoo地図の自宅から勤務地までの一般道路優先の距離を片道距離として用いる」等を運用ルールとして決定することでよいでしょう。
②勤務日数(日)
ガソリン代はマイカー通勤した日について発生しますので、乗ずる日数は「勤務日数(=出社日数)」でよいでしょう。
月給者で当月分のガソリン代を前払いする場合は、未経過日に対して支給することとなりますので、出勤日数ではなく「1か月の所定労働日数」とする方が一般的です。
③ガソリン単価(円/リットル)
ガソリン価格は総務省統計局が毎月公表している小売物価統計調査の1㍑あたりのガソリン(レギュラー)価格によることが一般的です。
毎月見直しをするのは煩雑ですから、「ガソリン単価は4月と10月の年2回改定することとする」等の運用でよいでしょう。
🔎小売物価統計調査(動向編)|総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/index.html
2020年2月調査結果によるガソリン価格を日本地図にザックリあてはめてみました。
↓クリックして拡大↓
ガソリン価格は西高東低です。
東日本の寒い地域ではガソリン以外にも灯油で稼ぐことができますし、首都圏では価格競争も激しいため、価格は西日本より安くなる傾向があります。
④燃費基準値(キロメートル/リットル)
燃費基準値は、1㍑のガソリンで何㌔走行することができるかの基準値です。
国土交通省は、毎年、燃費一覧を以下のサイトで公表しています。
🔎 燃費基準値|国土交通省
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn10_000002.html
ガソリン乗用車全体の燃費平均値とするのが一般的です。
ただし、車種により燃費には大きな差がありますので、例えばガソリン車とハイブリット車で適用する燃費基準値をわけて設定することでもよいでしょう。
2.ガソリン代の計算例
ガソリン代の一般的な計算式が理解できたところで、計算例でガソリン代を計算してみましょう。
( 計算例 )
①片道距離(Km)…10.5Km
②勤務日数(日)…20日
③ガソリン単価(円/㍑)…148円
④燃費基準値(km/㍑)…21.5km
==計算結果==
➎ガソリン代…2,892円(小数点未満切り上げ)
計算式にあてはめたイメージは以下となります。
↓ クリックして拡大 ↓
3.ガソリン代の計算ツール
ガソリン代の計算ツールを作成しました。
計算例の数字を初期値で設定しています。
4つの項目を更新すれば、ガソリン代が自動計算されます。
マイカー通勤は、会社の許可制とすることが望ましいでしょう。
許可制として、有効な免許の保持、任意保険の加入状況等は必ず確認するようにしましょう。
以上
written by suchika-hakaru