国民年金保険料の納付率が9年連続上昇?納付率が上昇をつづける厳しい現実

1002_数値化はかるのくらべてみよう
この記事は約4分で読めます。

厚生労働省によると、2020年度の国民年金保険料の納付率は71.5%と9年連続で上昇しました。

納付率の対象となる2020年度末の国民年金第1号被保険者は1449万人。

そのうち、保険料納付者は、726万人。

単純に人数で割り算すると、納付率は726万人÷1449万人=50.1%となり、ギリギリ50%を超える水準にとどまります。

厚生労働省の公表数字とは、大きく乖離します。

答えは、とてもシンプルです。

納付率の分母には、納付を免除された免除者の免除月数は含まれません

今回は、国民年金の納付率・免除者・免除割合の推移を確認し、上昇を続ける国民年金の納付率の実態を確認してみましょう。

1.納付率の推移と算出式

1-1.納付率の推移

納付率には、「現年度納付率」と「最終納付率」の2種類の指標があります。

「現年度納付率」とは現年度の保険料納付状況の指標で、「最終納付率」は過年度に納付されたものを加えた指標です。

保険料は過去2年分の納付が可能ですので、2020年度の最終納付率の確定には、あと2年必要です。

冒頭の71.5%の納付率は、現年度納付率のことです。

厚生労働省の令和2年度の国民年金の加入・保険料納付状況についての公表資料から、現年度納付率の推移を確認しましょう。

↓ クリックして拡大 ↓

右肩上がりです。

現年度納付率は、2011年の58.6%から、2020年は71.5%へ、12.9%も上昇しています。

単独の指標でみれば、改善傾向です。

1-2.納付率の算出式

ここで、納付率の算出式を確認しましょう。

納付率(%)= 納付月数 ÷ 納付対象月数 × 100

納付率を高めるには、分子の納付月数を増やすか、分母の納付対象月数を減らすかの対策が必要です。

ここで、ポイントです。

納付対象月数には、法定免除月数、申請全額免除月数、学生納付特例月数、納付猶予月数及び産前産後免除月数は含まれません

免除が増えれば分母が減り、分子の納付月数が増えなくても、指標は改善傾向を示すこととなります。

2.免除者と免除割合の推移

2-1.免除者の推移

国民年金保険料の免除には、全額免除と一部免除の2種類があります。

🔎 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

ここで、確認するのは、全額免除者です。

具体的には、法定免除者・申請全額免除者・学生納付特例者・若年納付猶予者の人数の合計です。

↓ クリックして拡大 ↓

2020年の全額免除者は過去最高の609万人となりましたが、基本は横ばいです。

2-2.免除者の割合の推移

ここで、国民年金の全額免除者の「割合」の推移を確認してみましょう。

↓ クリックして拡大 ↓

国民年金の全額免除者は、2010年の551万人から2020年は609万人と、58万人増えました。

一方で、加入者数は、2010年の1938万人から2020年は1449万人と、489万人も減りました。

全額免除者の増加率は10%ですが、加入者の減少率は、なんと、25%です。

結果として、加入者に占める全額免除者の割合は、40%を超える水準に達しています。

3.納付率上昇の実態

国民年金保険料の納付率が上昇を続けているのは、

「納付者が増えたわけではない。」

「免除者が増えただけでもない。」

一番の要因は、

加入者が減少し免除者が増え、免除者の割合が上昇したこと。」

です。

以上

written by suchika-hakaru

タイトルとURLをコピーしました