45時間超なら会社都合?長時間残業で退職した場合の失業手当の優遇措置

自己都合退職の場合、失業手当は、すぐには、もらえません。

安易な離職を制限する趣旨で、自己都合退職には給付制限期間(2か月又は3か月)が設けられています。

しかしながら、長時間残業が続き、やむを得ず、自己都合退職する人もいるでしょう。

そのような人に、失業保険制度では、優遇措置を設けています。

長時間残業が基準値を超えた場合は、給付制限期間なしで、すぐに、失業手当を受給することが可能となります。

失業手当の受給資格区分が、倒産・解雇と同様の特定受給資格として認定されるためです。

いわゆる会社都合退職の扱いとなります。

今回は、特定受給資格者の優遇措置と、特定受給資格者として認定される長時間残業の基準値を紹介します。

1.特定受給資格者の優遇措置

失業手当に受給にあたって、失業者は、離職理由により3つの受給資格区分に分類されます。

「一般の受給資格者」「特定受給資格者」「特定理由離職者」の3区分です。

この中で、「特定受給資格者」とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人のことです。

特定受給資格者には3つの優遇措置があります。

●優遇1:給付制限の免除

すぐに失業手当がもらえる。」

  ↓

2か月又は3か月の給付制限なく失業手当を受けることができます。

給付制限期間は、令和2年10月1日から取り扱いが変更されています。

・令和2年9月30日までの正当な理由がない自己都合退職の場合
 → 給付制限期間は、一律、3か月。

・令和2年10月1日以降の正当な理由がない自己都合退職が5年間で2回までの場合
 → 給付制限期間は、2か月。

・令和2年10月1日以降の正当な理由がない自己都合退職が5年間で2回超える場合
 → 給付制限期間は、3か月。

●優遇2:所定給付日数の優遇

たくさん失業手当がもらえる。」

  ↓

一般の受給資格者より失業給付の所定給付日数が、原則、多くなります。

ただし、年齢が若く、被保険者期間が短い場合は、一般の受給資格者と同一となる場合もあります。

以下のサイトで、所定給付日数は確認できます。

🔎 基本手当の所定給付日数|ハローワークインターネットサービス

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

●優遇3:受給要件期間の短縮

短い勤務期間でも失業手当がもらえる。」

  ↓

一般の受給資格者の場合は、原則として離職日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が12か月以上あることが必要ですが、特定受給資格者の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6か月あれば受給要件を満たします。

2.会社都合となる長時間残業の基準値

特定受給資格者の3つの優遇措置を確認したところで、倒産・解雇と同様の扱いとなる長時間残業の基準値を確認しましょう。

●基準1:1か月100時間超

離職の日の属する月の前6月のうち、いずれかの月において1か月当たり100時間以上、時間外労働及び休日労働が行われたこと。

月100時間を超える時間外労働・休日労働は、労働基準法違反です。

まさに、一発アウトの基準です。

🔎 時間外労働の上限制限|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

●基準2:2~6か月平均で月80時間超

離職の日の属する月の前6月のうち、いずれか連続した2か月以上の期間の時間外労働時間及び休日労働時間を平均し1か月当たり80時間を超えて、時間外労働及び休日労働が行われたこと。

これも、労働基準法違反となる基準です。

法違反は、当然に、会社都合の離職扱いとされます。

●基準3:3か月連続して月45時間超

離職の日の属する月の前6月のうち、いずれか連続した3か月以上の期間において1か月45時間を超える、時間外労働及び休日労働が行われたこと。

労働基準法では、時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6回を限度していますので、労基法違反にはならない基準です。

基準1、基準2は、法違反ですから会社側も留意しているので、それほどケースとしては多くないと思います。

一方で、3か月連続45時間は、法違反ではありませんので、該当する人も多いでしょう。

繁忙期が3か月も続けば、すぐに到達する基準です。


残業時間を客観的に証明するため、タイムカードや給与明細書などの提出は求められます。

個人で証明せざる得ない状況になったときのためにも、大切に保管しましょう。

以上

written by sharoushi-tustomu