年の途中で税区分の甲欄・乙欄が変更となった給与所得者の年末調整の取扱い

国税庁のサイトに令和3年分の年末調整のしかた が公開されました。

令和3年分に大きな法改正はありません。

年末調整のしかたに記載されている昨年と比べて変わった点は、①「扶養控除等申告書」などの申告書類の押印廃止と、②電磁的方法で「扶養控除申告書」などの提供を行う場合に税務署長の承認が不要となった旨の2点のみです。

年末調整の事務担当者が、はじめに押さえるべきポイントといえば、「年末調整の対象となる人」と「年末調整の対象となる給与」の2点です。

今回は、年の途中で甲欄と乙欄の税区分が変更となった場合の年末調整の取扱いを確認しましょう。

1.年末調整の対象となる人

はじめに、原則を、確認します。

給与所得者は、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無及び給与等の支給方法に応じ、3つの税区分のいずれかにより源泉徴収税額が計算されます。

●甲欄

「扶養控除等申告書」を提出している人に支払う主たる給与

●乙欄

「扶養控除等申告書」を提出していない人に支払う従たる給与

●丙欄

日々雇い入れられる人が、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける日雇賃金

年末調整の対象となる人は、甲欄の適用者です

ダブルワークで主たる給与支払元が別にあり、年末調整時点で乙欄が適用されている給与所得者は、年末調整の対象とはなりません。

🔎 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2520.htm

なお、本年中の主たる給与の収入金額が2000万円を超える人など、甲欄適用者であっても、例外的に年末調整の対象とならない人もいます。

年末調整の対象とならない人

①本年中の主たる給与の収入金額が2000万円を超える人

②災害により被害を受けて、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた人

❸2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に「扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整を行うときまでに「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者

④年の中途で退職した人で以下に該当しない人
・死亡により退職した人
・著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人
・12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人
・いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる場合を除きます。)

⑤非居住者

⑥継続して同一の雇用主に雇用されないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者

2.中途入社者が年の途中で甲欄から乙欄に変更となった場合

【中途入社者】が甲欄と乙欄の2枚の「給与所得の源泉徴収票」を提出する場合があります。

例えば、退職後に在籍期間中の賞与を支給するようなケースです。

🔎 退職後に支給される給与等の源泉徴収|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2739.htm

転職により主たる給与の支払者が転職先に変更となったことにより、前職における退職後賞与は乙欄で税額計算をされることとなります。

この場合、年末調整時に前職分として含めることができるのは、甲欄の「源泉徴収票」のみです。

国税庁の具体的な取扱いを、参照しましょう。

🔎 主たる給与の支払者が交代した場合の記載方法|国税庁

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hotei/7/11.htm

乙欄の前職の「源泉徴収票」は年末調整に含めることができませんので、年末調整の事務担当者は、必ず、提出された「源泉徴収票」が甲欄であることを確認しましょう。

提出された「源泉徴収票」が乙欄である場合は、提出した従業員に返却し、返却された従業員は確定申告を行うことが必要となります。

3.在籍者が年の途中で乙欄から甲欄に変更となった場合

次は、【在籍者】が年の途中で乙欄から甲欄に変更となった場合の取扱いです。

例えば、パートやアルバイトで当初は副業として働いていた人が、甲欄を適用されていた本業を退職したことに伴い、新たに「扶養控除等申告書」を提出し甲欄適用者となるケースです。

この場合、年末調整時点で甲欄が適用されているのであれば、乙欄での支払いも含めて年末調整を行います

なお、前職分として提出された「源泉徴収票」が甲欄であれば、前職分も年末調整の対象となる給与として含めます。

結果として、甲欄適用前の乙欄の源泉徴収票は従業員の手元には残りませんので、従業員が確定申告を行うことは不要となります。

以上

written by tantosya-masao