2023年度保険料率決定!社会保険・労働保険の保険料率の年度推移

1002_数値化はかるのくらべてみよう
この記事は約5分で読めます。

2023(令5)年度の社会保険料率が決定しました。

社会保険財政は、少子高齢化の進展や、新型コロナウイルス感染症による雇用助成金の多額の支払い等により、厳しい財政状況が続いています。

2023年度の大勢は、健康保険・介護保険・雇用保険は上昇、厚生年金・子ども子育て拠出金・労災保険は据え置きです。

各企業においては、健康保険や介護保険は加入する健康保険組合、労災保険はメリット制の適用もあるため、個別確認が必要です。

今回は、2023年度の決定料率と、各保険料率の年度推移について、確認してみましょう。

1.社会保険

広義の社会保険には、雇用保険・労災保険も含まれますが、狭義の社会保険は、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つになります。

3つの狭義の社会保険に保険料を財源としない子ども・子育て拠出金も加えて、4つの保険・拠出金について確認します。

(1)健康保険料率

健康保険は、労働者・被扶養者の業務災害以外の疾病・負傷・死亡・出産にかかる保険給付を行うことを目的とした保険です。

会社員は、協会けんぽ又は健康保険組合(組合健保)のいずれかに加入しています。

協会けんぽは都道府県単位で、組合健保は組合単位で保険料率が決定されます。

協会けんぽの2023年度の全国平均の健康保険料率は10.00%(労使折半)です。

🔎 都道府県毎の保険料率|協会けんぽ

全国平均の健康保険料率は、2012(平24)年度から10.00%が維持されています。

一方、組合健保は、上昇が続いています。

2023(令5)年度は、投稿日時点では未公表ですが、2022(令4)年度の平均は9.26%でした。

健康保険組合は、会社(事業主)と労働者の負担割合を任意に決定することができますが、負担割合の平均は、会社54・労働者46です。

協会けんぽと組合健保の平均保険料率の年度推移は、以下です。

↓ クリックして拡大 ↓

組合健保の平均保険料率が上昇しているのは、高齢者医療への拠出金が増大していることが大きな要因です。

協会けんぽの全国平均の保険料率10%を超える解散懸念のある組合健保も、2割存在しています。

(2)介護保険料率

介護保険は、加齢に伴う疾病等の保健医療・福祉サービス等にかかる給付を行うことを目的とした保険です。

介護保険は、健康保険組合(組合健保)は健康保険と同様に組合単位で保険料率を決定しますが、協会けんぽは健康保険とは異なり全国一律の保険料率となります。

2023年度の協会けんぽの介護保険料率は、1.82%(労使折半)です。

🔎 協会けんぽの介護保険料率について|協会けんぽ

協会けんぽの介護保険料率と、組合健保の平均介護保険料率の年度推移は、以下です。

↓ クリックして拡大 ↓

協会けんぽも組合健保も上昇傾向にありますが、組合健保の上昇率の方が、高くなっています。

(3)厚生年金保険料率

厚生年金保険は、労働者の老齢・障害・死亡にかかる給付を目的とした保険です。

厚生年金保険は、2017(平29)年9月から、18.3%(労使折半)で固定されています。

🔎 厚生年金保険料率と標準報酬月額等級の変遷表|日本年金機構

年度推移は、以下です。

↓ クリックして拡大 ↓

保険料は労使折半となりますので、労働者は、給料のうち、約1割は厚生年金保険料として徴収されていることとなります。

(4)子ども・子育て拠出金率

子ども・子育て拠出金は、児童手当等の子ども・子育てにかかる給付を目的とした拠出金です。

労働者負担はなく、全額が、事業主負担となります。

2023年度の子ども・子育て拠出金率は、前年度据え置きの0.36%です。

年度推移は、以下です。

↓ クリックして拡大 ↓

政府は次元の異なる少子化対策の財源として、子ども・子育て拠出金の料率引き上げも、今後は検討されることでしょう。

2.労働保険

労働保険は、雇用保険・労災保険の2つです。

(5)雇用保険料率

雇用保険は、労働者の失業や雇用継続等にかかる給付を目的とした保険です。

雇用保険は、一般の事業・農林水産/清酒製造の事業・建設の事業の3つの事業ごとに料率が設定されています。

2023年度の一般の事業の雇用保険料率は、労使合計で1.55%となり、負担の内訳としては労働者0.6%、事業主0.95%の負担です。

🔎 雇用保険料率について|厚生労働省

一般の事業の雇用保険料率の年度推移は、以下です。

↓ クリックして拡大 ↓

雇用保険財政は、コロナ前は失業給付が減少し多額の積立金がありましたが、コロナによる雇用調整助成金の多額の支払により、財源は枯渇しました。

保険料率は、当面は、現行水準以上での推移と見込まれます。

(6)労災保険料率

労災保険は、労働者の業務上の事由や通勤による負傷・疾病・障害・死亡等にかかる給付を目的とした保険です。

労災保険料は、全額が事業主負担です。

労災保険料率は、業種別に設定されています。

2018年度以降は、業種別の労災保険料率は、変更されていません。

業種別の労災保険料率は、以下を参照しましょう。

🔎 令和5年度の労災保険率について|厚生労働省

なお、労災保険料率は、個々の事業場の労災事故の多寡により保険料率が変動するメリット制が採用されています。

各企業(事業場)の労災保険料率は、労働局から送付される申告書で確認しましょう。

以上

written by suchika-hakaru

タイトルとURLをコピーしました