社会保険二重加入?二以上事業所勤務者の届出手続きと保険料按分負担の仕組み

平成28年10月に、健康保険・厚生年金保険の社会保険加入要件が明確化されました。

原則の社会保険加入要件は「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」となります。

平成28年10月からは、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大の措置も講じられています。

短時間労働者の適用拡大措置により、週の所定労働時間が20時間以上等の所定の要件を満たす場合も、社会保険に加入することができるようになりました。

労働時間の概念のない役員として複数社に就任している場合や、副業により同時に複数社で週20時間以上勤務する場合等は、同時に複数の会社で、社会保険加入要件を満たすことがあります。

複数の会社で社会保険加入要件を満たす人を、二以上事業所勤務者といいます。

今回は、複数の会社(事業所)で社会保険加入要件を満たす二以上事業所勤務者の届出手続きと保険料按分の仕組みについて確認してみましょう。

1.事業所選択の届出手続き

被保険者が同時に2か所以上の適用事業所に使用されることなり、管轄する年金事務所または保険者が複数になる場合は、主たる事業所の選択の手続きが必要です。

主たる事業所を「選択事業所」、従たる事業所を「非選択事業所」といいます。

具体的な届出書類・添付書類・提出先等は、以下の通りです。

🔷届出書類

健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

🔷添付書類

健康保険被保険者証

🔷 提出先

選択した事業所の所在地を管轄する年金事務所

※健康保険について健康保険組合を選択した場合は健康保険組合への提出も必要。

🔷提出期限

複数の適用事業所に勤務したときから10日以内

🔷提出者

被保険者

🔎 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20131022.html

ポイントは、手続き主体者は、被保険者本人ということです。

建付けとしては、そもそも二以上事業所勤務に該当するか否かは本人しかわからず、また、主たる事業所(選択事業所)も本人が選択するためです。

届出書類も、被保険者の住所・氏名・電話番号欄はありますが、事業主欄はありません。

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現実的には、事業主となる勤務先経由で手続きするのが一般的でしょう。

届出されると、それぞれの会社(事業所)に、『二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書』が通知されます。

被保険者本人には、通知されません。

事業所選択の届出から通知までの手続きの流れは以下の図を参照しましょう。

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2.保険料按分負担の仕組み

二以上事業所勤務者のポイントは、なんといっても、保険料の按分負担の仕組みです。

二以上事業所勤務者の標準報酬月額は、各事業所から受ける報酬月額を合算して決定されます。

各事業所で負担する保険料は、合算額により決定された標準報酬月額を、各事業所の報酬月額に基づいて按分した額となります。

合算額により決定した標準報酬月額と各事業所の保険料負担額は、『二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書』で確認します。

被保険者からの給与天引きは、各事業所における報酬月額に基づいて按分した保険料額から事業主負担分を減算した額を、天引きすることとなります。

保険料の按分負担の計算式は、以下の図の通りです。

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二以上事業所勤務者は、定時決定(算定)、随時改定(月変)、賞与支払等の業務の都度、留意が必要です。

定時決定(算定)時は通常者とは別用紙での提出が必要となり、随時改定(月変)時は各事業所で随時改定の要件に該当するかどうかの判断も必要です。

とにかく、事務が煩雑です。

以上

written by syaroshi-tsutomu