全員一律はNG?住宅手当の割増賃金算定基礎額からの除外要件

残業手当等の割増賃金算定基礎額から除外できる賃金は、法令で限定列挙されています。

具体的には、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤臨時に支払われた賃金、⑥1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、そして、⑦住宅手当です。

覚えた方は、「かつべしリーチ、プラスじゅう」です。

7つの賃金のうち、住宅手当は平成11年10月に最後に追加されたので、「プラスじゅう」と覚えましょう。

ただし、住宅手当は割増賃金算定基礎額から、一律に除外できるものではなく、除外のための要件があります。

今回は、住宅手当の割増賃金算定基礎額から除外できる要件を、具体的な事例もまじえ、確認してみましょう。

1.割増賃金算定基礎額から除外できる賃金

割増賃金算定基礎額から除外できる賃金は、労働基準法第37条第5項と労働基準法施行規則第21条に、限定列挙されています。

(労働基準法第37条第5項)
第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

労基法では、①家族手当と②通勤手当の2つが規定されています。

その他厚生労働省令が、労働基準法施行規則第21条です。

(労働基準法施行規則第21条)
法第三十七条第五項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
一 別居手当
二 子女教育手当
三 住宅手当
四 臨時に支払われた賃金
五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

労基則では、①別居手当、②子女教育手当、③住宅手当、④臨時に支払われた賃金(例:慶弔見舞金など)、⑤1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:賞与など)の5つが規定されています。

労基法で2つ、労基則で5つの、計7つが、割増賃金算定基礎額から除外できる賃金です。

7つの賃金は、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基いて支給されていることなどにより、除外することができるとされています。

2.住宅手当の除外要件

では、本題の、住宅手当の割増賃金算定基礎額からの除外要件を確認しましょう。

通達(平成11年3月31日基発第170号)では、「住宅に要する費用に応じて算定する手当をいう」とされています。

前半部分の「住宅に要する費用」とは、賃貸住宅であればその賃貸に必要な費用であり、持ち家であれば住宅の購入やローン等に必要な費用をいいます。

後半部分の「費用に応じて算定する手当」とは、費用に定率を乗じた額や、費用を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額を多くすることをいいます。

3.住宅手当を除外できる例とできない例

最後に、住宅手当の割増賃金算定基礎額から「除外できる例」と「除外できない例」を確認しましょう。

3-1.除外できる例

<定率方式>

・賃貸住宅の家賃や持家の住宅ローン月額に応じて、一定割合を支給する場合。

(例)家賃月額や住宅ローン月額の10%を支給する。

<段階方式>

・賃貸住宅の家賃や持家の住宅ローン月額を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額を多くする場合。

(例)家賃月額(住宅ローン)10万円未満は1万円、10万円以上は2万円を支給する。

3-2.除外できない例

<全員一律方式>

・全員に一律の定額を支給する場合。

(例)全員に2万円を支給する。

<住宅形態一律方式>

・住宅の形態ごとに一律に定額で支給する場合。

(例)賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給する。

<扶養家族有無方式>

・扶養家族の有無により一律に定額で支給する場合。

(例)扶養家族有は2万円、扶養家族無は1万円を支給する。

以上

written by sharoshi-tsutomu