子の扶養どっちにする?共働き夫婦の被扶養者認定の取扱基準(2021年8月改正)

2021年8月、共働き夫婦の健康保険の被扶養者認定の取扱基準が、改正されます。

改正趣旨は、年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、 その子が無保険状態となって償還払いを強いられることの防止です。

共働き夫婦の被扶養者認定は、長らく、「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」(昭和60年6月13日保険発第66号・庁保険発第22号)に準拠し運用されていました。

今回は、35年ぶりの改正となる、共働き夫婦の被扶養者認定の取扱基準について、確認しましょう。

1.被扶養者認定時の取扱基準

はじめに、被扶養者認定時の取扱基準を、改正内容とあわせて、確認しましょう。

1-1.夫婦とも被用者保険の被保険者の場合

被用者保険とは、会社員等の被雇用者が加入する健康保険のこと。

被用者保険を大別すると、一般の民間企業の会社員が加入する健康保険、公務員などが加入する共済組合、船員が加入する船員保険の3つに大別されます。

(1)夫婦年収の差が1割超ある場合

被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。)が多い方の被扶養者とする。

従来の「年間収入」の基準は、当該被扶養者届が提出された日の属する年の前年分の年間収入が原則でした。

今回の改正により、今後1年間の収入見込が判断基準となりました。

なお、夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断として差し支えないこととなっています。

(2)夫婦年収の差が1割以内である場合

夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。

従来は、夫婦年収の差が同程度の場合と、曖昧な規定でしたが、今回の改正により、同程度とは、年収差が1割以内と明確となりました。

(3)夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員の場合

夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員であって、その者に被扶養者とすべき者に係る扶養手当又はこれに相当する手当の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない。なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定しないことはできない。

原則は、扶養手当が支給されているか否かでどちらの扶養にするかの判断となります。

扶養手当の支給有無だけで一律の判断はしない旨の規定が、今回追加されています。

(4)保険者間で協議が必要な場合【💡改正ポイント】

今回の改正ポイントです!

保険者間で協議をしている間、子が無保険状態となってしまいますので、基準が明確化されました。

まず、保険者間の協議にいたる流れを確認します。

(不認定通知を発出する保険者)

・被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出する。
・当該通知には、認定しなかった理由(年間収入の見込み額等)、加入者の標準報酬月額、届出日及び決定日を記載することが望ましい。

   ↓

(不認定通知を受けた被保険者)

・被保険者は当該通知を届出に添えて次に届出を行う保険者等に提出する。

   ↓

(不認定通知を受けた保険者)

・他保険者等が発出した不認定に係る通知とともに届出を受けた保険者等は、当該通知に基づいて届出を審査することとし、他保険者等の決定につき疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内(書類不備の是正を求める期間及び土日祝日を除く。)に、不認定に係る通知を発出した他保険者等と、いずれの者の被扶養者とすべきか年間収入の算出根拠を明らかにした上で協議する。

ここで、協議に時間がかかると、子の無保険状態が続きますので、どちらの保険者で被扶養者として認定するか基準が明確化されました。

初めに届出を受理した保険者等に届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とする

標準報酬月額が同額の場合は、被保険者の届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。なお、標準報酬月額に遡及訂正があった結果、上記決定が覆る場合は、遡及が判明した時点から将来に向かって決定を改める。

標準報酬月額を基準とし、同額の場合は、被保険者の届出により決定する。こととなりました。

1-2.夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合

被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。

国民健康保険の被保険者については、年間収入ではなく、年間「所得」です。

年間所得とは、総所得金額等から基礎控除額(合計所得金額が2400万円以下の場合は43万円)を控除した金額です。

夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合で、保険者間で協議が整わない場合の取扱いも明確化されました。

●協議が整わない場合には、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を主として生計を維持する者とする。

課税(非課税)証明書とは、市区町村が発行する各年1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて算定した市民税・都道府県民税の税額を証明した書類のことです。

2.被扶養者認定後の取扱基準

被扶養者認定後の被扶養者異動の取扱基準も、2つの例示が追加されました。

2-1.育児休業等を取得した場合

厚生労働省の「令和元年度雇用均等基本調査」によると、育児休業取得率は女性で83.0%、男性は7.48%と、女性はほぼ取得している状況です。

育児休業取得が一般的となりましたので、今回の改正でも、育児休業取得した場合の被扶養者異動の取扱基準が明確されました。

主として生計を維持する者が健康保険法第43条の2に定める育児休業等を取得した場合、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととする。ただし、新たに誕生した子については、改めて認定手続きを行うこととする。

育児休業取得による被扶養者異動は行わない。が、原則です。

2-2.年間収入が逆転した場合

年間収入の逆転に伴い被扶養者認定を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者等が認定することを確認してから削除することとする。

本規定も、子が無保険状態となることを防止するために、明確化されました。

削除認定の間の無保険状態の防止のため、認定削除の流れとなっています。


通達全文は、以下で確認しましょう。

🔎 夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日保保発0430第2号・保国発0430第1号)【PDF】|厚生労働省

以上

written by syaroshi-tustomu