マイナ保険証を持っていない場合の「資格確認書」の発行申請手続き

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2024年12月2日以降、従来の健康保険証の新規発行が廃止されます。

今後は、健康保険証を利用登録したマイナンバーカード、いわゆる「マイナ保険証」で医療機関を受診する仕組みに移行されます。

総務省が毎月公表しているマイナンバーカードの交付状況では、2024年9月末時点で人口に対する保有枚数率は75.2%。

約4分の3の人は、マイナンバーカードを持っています。

マイナンバーカードの保有者は、マイナンバーカードの健康保険証利用登録により、マイナ保険証が利用可能となります。

一方で、マイナンバーカードを持っていない4分の1の人は、加入している医療保険制度の保険者から「資格確認書」を発行してもうらことが必要です。

資格確認書の機能は、従来の健康保険証と同じです。

つまり、マイナンバーカードを持っていない人にとっては、健康保険証の代わりとなるのが資格確認書です。

今回は、マイナ保険証未保有者の「資格確認書」の発行申請手続きについて、医療保険制度別に確認します。

1.被用者保険(健保組合・協会けんぽ・共済組合)

被用者保険とは、会社員や公務員等が加入する健康保険のことで、健康保険組合・協会けんぽ・共済組合等が該当します。

今回は、協会けんぽの「資格確認書」の発行申請手続きについて、①新規加入者と②既存加入者別に確認します。

①新規加入者

新規加入者とは、2024年12月2日以降に転職等により新たに被保険者資格を取得する場合や、出産等により新たに被扶養者の追加を行う場合が該当します。

具体的な申請手続きとしては、被保険者は「被保険者資格取得届」に、被扶養者は「被扶養者(異動)届」に、資格確認書発行要否欄が設けられます。

資格確認書の発行が必要な場合は、資格確認書発行要否欄の「発行する」のチェックボックスにチェックを入れ、事業主は届出を行うこととなります。

届出書類のイメージは、以下の日本年金機構のサイトで確認しましょう。

🔎 令和6年12月2日以降は健康保険証が発行されなくなります|日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202410/1018.html

協会けんぽとのやり取りは事業主経由で行いますので、「資格確認書」も事業主経由で加入者に発行(交付)されることとなります。

なお、「資格確認書」の有効期限内に退職した場合は、事業主は「資格確認書」の回収が必要です(有効期限が切れた資格確認書については自己破棄可能)。

②既存加入者

既発行の健康保険証は、2025年12月1日までは使用可能です。

既存加入者への「資格確認書」の発行は、既発行の健康保険証が使用停止となる2025年12月2日以降、マイナ保険証の未保有者やマイナンバー未登録者等に対し、協会けんぽが必要と判断した場合に、発行されます。

いわゆる、職権での発行となりますので、加入者による発行申請手続きはありません。

2.国民健康保険(市区町村)

国民健康保険には、被用者保険に未加入の自営業やパート・アルバイト等で職場の健康保険には未加入等の人が加入しています。

国民健康保険は、都道府県及び市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合から構成されております。

今回は、市町村国保の「資格確認書」の発行申請手続きについて、①新規加入者と②既存加入者別に確認します。

①新規加入者

2024年12月2日以降に国民健康保険に加入した場合や資格情報における変更(氏名や住所等の変更)があった場合で、マイナ保険証を保有していない場合は申請不要で「資格確認書」が発行されます(マイナ保険証の保有者には「資格情報のお知らせ」が発行される)。

申請不要で発行されるのは、以下のような場合です。

・マイナンバーカードを取得していない。
・マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れている。
・マイナンバーカードの保険証利用登録を行っていない、解除している。
・マイナンバーカードを返納している。
・マイナポータルで自己情報が閲覧できない設定をしている。 など

なお、「マイナ保険証」を取得しているが「資格確認書」の発行を希望する場合は、発行申請が必要です。

詳細は、加入している市区町村の窓口で、確認しましょう。

②既存加入者

国民健康保険の既存加入者への「資格確認書」の一斉交付は、2025年7月頃に行われる予定です。

3. 後期高齢者医療保険(市区町村)

後期高齢者医療保険は、75歳以上の人(一定の障害がある場合は65歳以上の人)が加入する医療保険制度です。

後期高齢者医療保険の「健康保険証」は、毎年、8月が年次更新の時期となります。

現年度末となる2025年7月末までは暫定運用として、現行の「健康保険証」が失効する場合はマイナ保険証の保有状況にかかわらず「資格確認書」が申請不要で発行されます。

次年度が開始される2025年8月以降は、マイナ保険証の未保有者には「資格確認書」を発行し、マイナ保険証の保有者には「資格情報のお知らせ」が発行されます。

2025年8月以降の具体的な発行申請手続きは、次年度の更新時期に周知されるものと思います。


最後にまとめ。

・2024年12月2日以降、従来の「健康保険証」の新規発行は廃止される。

・今後は、「マイナ保険証」の利用が原則。なお、医療機関のカードリーダー不具合等で「マイナ保険証」が利用不可の場合は「資格情報のお知らせ」をあわせて提示し受診する。

・「マイナ保険証」を持っていない人は「資格確認書」が発行される。「資格確認書」とは、つまり、従来の「健康保険証」と一緒。

以上

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