保育園は、空きがあれば、いつでも入園可能です。
ですが、一般的に空きがでるのは、年度始まりの4月。
そのため、育児休業からの復職も、4月に集中します。
原則の育児休業期間は、子が1歳に達する(1歳の誕生日の前日)までの期間です。
途中入園できない場合は、やむなく、育児休業期間を延長することとなります。
保育園に入園できない場合、育児休業給付金の受給期間も延長することが可能です。
今回は、1歳に達した子が保育園に入園できない場合の育児休業給付金の延長期間と延長事由について確認します。
1.育児休業給付金の延長可能な期間(延長期間)
育児休業給付金とは、雇用保険被保険者が子の養育のために育児休業を取得した場合に、収入を補う目的で支給される給付金です。
🔎 育児休業給付について|厚生労働省
給付額は、育児休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%、181日目からは休業開始前の賃金の50%です。
原則の給付期間は、子が1歳に達する日前(1歳の誕生日の前々日)までの期間ですが、最長2年(子が2歳に達する日前)まで延長することが可能です。
雇用保険法の規定を確認してみましょう。
(育児休業給付金)
~雇用保険法第六十一条の七~
第六十一条の七 育児休業給付金は、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下この条及び次条において同じ。)が、厚生労働省令で定めるところにより、その一歳に満たない子(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二第一項の規定により被保険者が当該被保険者との間における同項に規定する特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者(当該請求に係る家事審判事件が裁判所に係属している場合に限る。)であつて、当該被保険者が現に監護するもの、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号の規定により同法第六条の四第二号に規定する養子縁組里親である被保険者に委託されている児童及びその他これらに準ずる者として厚生労働省令で定める者に、厚生労働省令で定めるところにより委託されている者を含む。以下この章において同じ。)(その子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、一歳六か月に満たない子(その子が一歳六か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、二歳に満たない子))を養育するための休業(以下この章において「育児休業」という。)をした場合において、当該育児休業(当該子について二回以上の育児休業をした場合にあつては、初回の育児休業とする。以下この項及び第三項において同じ。)を開始した日前二年間(当該育児休業を開始した日前二年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間))に、みなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。
育児休業給付金の支給期間は、原則は1歳に達する前(1歳の誕生日の前々日)までですが、延長事由に該当する場合は、2歳に達する前(2歳の誕生日の前々日)まで延長できる旨、規定されています。
延長事由は、雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合です。
2.育児休業給付金の延長可能な要件(延長事由)
2-1.延長事由に該当する場合(要件)
それでは、育児休業給付金の延長が可能となる要件について、確認します。
雇用保険法第六十一条の七の所定要件となる厚生労働省令とは、雇用保険法施行規則第101条の25(法第六十一条の七第一項のその子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合)、雇用保険法施行規則第101条の26(法第六十一条の七第一項のその子が一歳六か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合)のこと。
厚生労働省令の要件の一つが、以下に規定されています。
(法第六十一条の七第一項のその子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合)
~雇用保険法施行規則第百一条の二十五第一項~
第百一条の二十五 法第六十一条の七第一項のその子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合は次のとおりとする。
一 育児休業の申出に係る子について、児童福祉法第三十九条第一項に規定する保育所、認定こども園法第二条第六項に規定する認定こども園又は児童福祉法第二十四条第二項に規定する家庭的保育事業等(第百一条の二十九の二において「保育所等」という。)における保育の利用を希望し、申込みを行つているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
一言でいうと、「保育園に落選した」という要件です。
法規定の用語を整理します。
「保育所等」とは――
保育所等とは児童福祉法第 39 条第1項に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定こども園又は児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等をいいます。いわゆる無認可保育施設は含まれません。
「保育の利用を希望し、申込みを行っている」とは――
市町村に対して認可保育施設利用の申込みを行うことが必要です。留意点は、入所の申込みを1歳の誕生日以前に行い、かつ、入所希望日(利用開始日)が1歳の誕生日以前であることです。
2-2.延長事由に該当しない場合(留意点)
厚生労働省のパンフレットに、具体的な延長対象とならない事例が掲載されています。
🔎 保育所に入所できない場合の育児休業給付金の延長について|ハローワーク
以下、抜粋です。
< 延長対象とならない事例 >
①市区町村に問い合わせをしたところ、年度途中の入所は難しい状況または定員超過のため次回の入所は困難であると説明を受け、入所申込みを行わなかった場合。
②無認可保育施設(認証保育所等)への入所申込みの場合。
③保育所の入所申込日が1歳の誕生日以降となっている場合。
④保育所の入所希望日(利用開始日)が、1歳の誕生日の翌日以降となっている場合。
※各月1日、11日、21日が利用開始日である市区町村で、10月29日誕生日の子について、11月1日の利用開始日で希望した場合、利用開始日が1歳の誕生日以前でないため、給付金の延長対象となりません。
延長事由に該当することを証明するため延長給付の申請時には添付書類が必要です。
市区町村が発行した「保育所入所不承諾通知書」(市区町村で名称は異なる)の写し、市区町村が証明書を発行しない場合は「本人自筆の疎明書」等が必要となります。
昨今では、「落選狙い」で入園申請している例があると問題視されています。
🔎 育児休業の取得は、子どもが1歳になるまでです。|厚生労働省
法の抜け穴のような対応として、新聞等のメディアでも取り上げられていますので、今後は要件が厳格化されることも想定されます。
最後にまとめ。
・育児休業給付金は、最長2年(子が2歳に達する日前)まで延長が可能。
・延長するには保育園落選等の延長事由に該当することが必要。
・延長給付目的の落選狙い防止のため要件厳格化の方向。
以上
written by sharoshi-tsutomu