半日休暇は何時間?半日単位年休の制度設計と実務がわかる9つの質問

年次有給休暇は日単位での取得が、原則です。

ただし、労働者が希望し、使用者が同意した場合であれば、半日単位で与えることも可能です。

半日単位の年休制度は、労働基準法に具体的な規定はありません。

各企業において任意に導入する制度となります。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」によると、半数以上の企業で導入されています。

今回は、半日単位年休の制度と実務について、9つの質問で確認しましょう。

Q1.半日年休の使用者の導入義務は?

労働基準法第39条に規定する年次有給休暇は、一労働日を単位とするものとなりますので、使用者は労働者に半日単位で年休を付与する義務はありません昭和24年7月7日基収第1428号・昭和63年3月14日基発第150号)。

一方で、半日単位の付与を禁止している訳ではありません。

労働者が取得を希望し、使用者が同意した場合であれば、労使協定が締結されていない場合でも、本来の日単位取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限り、半日単位で付与することは問題ないとされています。(平成7年7月27日基監発第33号)。

Q2.半日年休の就業規則の規定義務は?

半日単位の年休制度は「休暇」に関する事項となりますので、就業規則の絶対的必要記載事項に該当し、就業規則への規定が必要です労働基準法第89条第1号)。

就業規則の規定に際しては、以下の①~③の3つの事項を明確に定めましょう。

①半日の定義

②半日単位で取得可能な回数の上限

③半日年休を取得した場合の時間外労働の取扱い

Q3.半日単位の区切り方は?

「半日」とは、原則的には所定労働時間の2分の1を意味しますが、必ずしも厳密に一日の所定労働時間の2分の1とする必要はなく、例えば、午前(9:00~12:00)と午後(13:00~17:00)という分け方でも差し支えありません平成21年5月29日基発第0529001号)。

一般的には、午前と午後で半日を区切ります。

午前と午後で半日を区切る場合、午前半休は「始業時刻から昼食休憩まで」の時間、午後半休は「昼食休憩後から終業時刻まで」となります。

Q4.半日年休の取得の上限回数は?

半日単位の年休取得に上限回数を設けることは可能です

半日年休が多いと業務割当も労務管理も煩雑となります。

複数人で業務を進める必要があれば、上限回数を設けることが望ましいでしょう。

なお、時間単位の年次有給休暇には、年5日以内の制限があります(労働基準法第39条第4項)。

Q5.午前半休を取得した場合の休憩時間は?

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません労働基準法第34条第1項)。

労働時間の「途中」に休憩を与えることがポイントです。

例えば、労働者が午前半休の取得日に残業をし、実労働時間が6時間を超えた場合は、休憩時間を与えなければなりません。

例えば、午前(9:00~12:00)と午後(13:00~17:00)が半日単位となる企業で、 労働者が午前半休し、午後の実労働時間が6時間を超えた場合、午後の始業時刻前の12:00~13:00に休憩時間を与えていたとしても、法規定の労働時間の「途中」で休憩を与えたことにはなりませんので、違法です。

Q6.パート労働者のみ半日年休を制限することは?

通常の労働者と同視すべきパート労働者に対しては、通常の労働者との差別的取扱いが禁止されています。(パート労働法第9条)。

よって、通常の労働者に半日年休が認められている場合、通常の労働者と同視すべきパート労働者であれば制限することは不可です。

なお、通常の労働者と同視すべきパート労働者とは、職務内容が同一、人材活用の仕組みが同一、無期労働契約の3要件を満たす者をいいます。

Q7.半日年休取得時の割増賃金の計算は?

労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めています(労働基準法第32条)。

例えば、午前年休を取得した労働者が、午後の実労働時間が8時間以内で、かつ、1週間の実労働時間が40時間を以内であれば、法による割増賃金の支払は必要ありません。

いわゆる法内残業時間は、通常の賃金を支払えば、足ります

なお、就業規則で、所定の終業時刻以降の労働時間に割増賃金を支払う等の法要件を上回る規定を行っている場合は、割増賃金の支払いが必要です。

Q8.半日単位の代休付与は?

休日労働をした労働者に対して代休を与えることの法律上の義務はありません(昭和23年4月9日基収1004号・昭和63年3月14日基発150号・平成11年3月31日基発168号)。

半日単位での代休付与を認めるか否かは、各企業で任意に定めることが可能です

半日単位での代休付与を行う場合は、就業規則への定めが必要となります。

Q9.半日年休の年5日年休取得義務への算入は?

2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました(労働基準法第39条第7項)。

半日単位の年休は、年5日の年休取得義務化の対象としてカウントできます

なお、時間単位年休は、年5日の年休取得義務化の対象としてカウントできません。


最後にまとめ。

・半日単位の年休制度は、企業が任意に導入することが可能。

・半日単位の年休制度を導入する場合は、就業規則へ規定が必要。

・半日の単位は、1日の所定労働時間の半分、または、午前・午後のいずれかを選択。

・半日単位の年休取得回数には、上限回数を設けることが可能。

・半日単位の年休取得日の残業は、法内残業であれば、割増賃金の支払は不要。

・半日単位の年休取得日数は、年5日の年休取得義務化の対象としてカウント可。

以上

written by soudanin-hajime