産休前に年次有給休暇を取得していた場合の産前産後休業保険料免除期間

平成26年4月から産前産後休業期間中の社会保険料の免除制度が開始されています(健保法第159条の3。厚年法第81条の2の2)。

保険料免除を受けるには『産前産後休業取得者申出書』を日本年金機構へ提出します(健保加入の事業主は健保組合にも提出)。

産前産後休業保険料免除は「産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間」について社会保険料の免除を受けることができます。

ここで重要なのが・・・

労務に従事しなかった期間です。

労務に従事しなかった期間とは、給与が支給される年次有給休暇の取得期間であっても該当します。

よって、「会社申出の産前産後休業期間」と「産前産後休業保険料免除期間」は必ずしも一致しません。

今回は具体的な2つの事例で、産休前に年休を取得していた場合の産前産後休業保険料免除期間を確認しましょう。



事例1:出産予定日以降に出産した場合

まず、日本年金機構の産前産後休業保険料免除制度のページを確認します。

🔎 産前産後休業保険料免除制度|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-04.html

(1)産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも徴収しません。被保険者から産前産後休業取得の申出があった場合、事業主が「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構へ提出します。
(2)この申出は、産前産後休業をしている間に行わなければなりません。
(3)産前産後休業期間中における給与が、有給・無給であるかは問いません
(4)保険料の徴収が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までです。免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。

産前産後休業期間中であれば、有給であっても適用されることが確認できました。

それでは、出産予定日以降に出産した場合の事例を確認しましょう。

📅 年休期間
2019年4月30日~2019年5月2日
※5月3日以降、無給となる産休申請
📅 出産予定日
2019年6月10日
📅 出産日
2019年6月11日(1日遅れ)

📅 産前産後休業保険料免除期間
2019年4月30日~2019年8月6日

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開始日(4月30日)は、出産予定日(6月10日)が起算日です。

出産が遅れた場合も、産前産後休業保険料免除の開始日は出産予定日が起算日となりますので、休業開始日に変更はありません。

なお、4月30日~5月2日が年休でなく、通常出勤の場合であれば、産休保険料免除開始日は5月3日となります。

終了日(8月6日)は、出産日(6月11日)が起算日に変更となります。

産後56日は出産日後の56日が対象期間となりますので、当初申請より1日延長されることとなります。

事例2:出産予定日前に出産した場合

次は、出産予定日前に出産した場合の事例です。

📅 年休期間
2019年4月30日~2019年5月2日
※5月3日以降、無給となる産休申請
📅 出産予定日
2019年6月11日
📅 出産日
2019年6月10日(1日早まる)

📅 産前産後休業保険料免除期間
2019年4月30日~2019年8月5日

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開始日(4月30日)は、出産日(6月10日)が起算日に変更となります。

出産日が1日早まったことで、産休保険料免除開始日も1日早まることとなり、4月30日も保険料免除の対象期間とすることが可能です。

産休前に年休を取得していた場合で、出産日が早まったときは、保険料免除期間の前倒しが可能となりますので、漏れなく『産前産後休業取得者変更届』を提出しましょう。

なお、4月30日が年休ではなく、通常出勤していた場合は、出産日が早まった場合であっても「妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間」には該当しませんので、開始日の前倒しはできません。その場合、4月分の保険料は免除されず、5月分から保険料が免除されることとなります。

終了日(8月5日)は、出産日(6月10日)が起算日となります。

出産が早まったことで産休保険料免除終了日も前倒しされます。


最後におさらいです。

健康保険法と厚生年金法における産前産後休業の保険料免除は「労務に従事しなかった期間」であれば足りるため、給与が支給される「年次有給休暇」であっても対象となります。

今回は労働者の「年次有給休暇」を事例としましたが、役員報酬が継続して支給される役員の場合であっても「労務に従事しなかった期間」であれば、産前産後休業保険料免除は適用されることとなります。

以上

written by sharoshi-tsutomu