住宅ローン控除を受ける初年度は確定申告が必要となりますが、2年目からは年末調整により税額控除を受けることができます。
年末調整に必要となる「申告書」は、税務署から2年目以降の申告書がまとめて送付されます。
税務署から送付された「申告書」と、金融機関から送付される「年末残高証明書」が揃えば、2年目以降の年末調整の手続きは、会社の担当者にとっては難しいものではないでしょう。
ただし、今よりも低い金利の住宅ローンに借り換えをした場合は、年末残高の按分計算が必要となることがありますので、注意が必要です。
今回は、住宅ローンを借り換えした場合の追加の必要書類と住宅ローン控除額の計算方法について確認することにします。
1.借換え直前における当初の住宅ローン残高の確認書類
はじめに、住宅ローンの借換えをした場合に継続して住宅ローン控除を適用できる要件を確認しましょう。
新築等(敷地の取得を含む。以下この項、41-20及び41-32において同じ。)又は増改築等に係る借入金又は債務(以下この項及び41-21において「当初の借入金等」という。)の金額を有している場合において、当該当初の借入金等を消滅させるために新たな借入金を有することとなるとき(以下41-19及び41-21において「借入金等の借換えをした場合」という。)は、当該新たな借入金が当初の借入金等を消滅させるためのものであることが明らかであり、かつ、当該新たな借入金を新築等又は増改築等のための資金に充てるものとしたならば措置法第41条第1項第1号又は第4号に規定する要件を満たしているときに限り、当該新たな借入金は同項第1号又は第4号に掲げる借入金に該当するものとする。(租税特別措置法関係通達41-16)
一般的な会社員は当初の住宅ローンを消滅させること以外で、新たな借入金を有することはないでしょうから、概略として理解する程度でよいでしょう。
借換え有無の判定は、申告書の「居住開始日」と年末残高証明書の「当初借入日」を確認し、「居住開始日」が「当初借入日」より古い場合は、借換えの可能性を疑いましょう。
「居住開始日」が古いということは、居住してからお金を借りていることになりますので。
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借換えをしている場合に、追加で必要となるのは「借換え直前における当初の住宅ローン残高」がわかる書類です。
具体的には、以下のような書類で直前残高を確認しましょう。
●残高証明書(支払証明書)
●支払利息証明書
●返済予定表
借換え直前の残高確認が目的ですので、コピーを申告者に提出させることで差し支えありません。
なお、「借換え直前における当初の住宅ローン残高」の対象となるのは「借入金の元金」です。
「支払利息」や「諸経費」は含まれませんので留意しましょう。
2.住宅ローンの借換えを行った場合の年末残高の按分計算
借換えを行った場合は年末残高の按分計算が必要となることがあります。
「当初の住宅ローンの借換え直前の残高」より「新たな住宅ローンの当初借入額」が 少ない場合は、年末残高の按分計算は不要となり、「新たな住宅ローンの年末残高」により住宅ローン控除額を計算することとなります。
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一方で、「当初の住宅ローンの借換え直前の残高」より「新たな住宅ローンの当初借入額」が 多い場合は、年末残高の按分計算が必要となります。
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具体例で確認しましょう。
(具体例)
(A)借換え直前における当初の住宅ローン等の残高:2,000万円
(B)借換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額:2,100万円
(C)借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高:2,050万円
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(C)2050万円×(A)2000万円÷(B)2100万円
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控除対象となる年末残高 19,523,810円(円未満切り上げ)
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国税庁のサイトでも理解しましょう。
🔎 住宅ローン等の借換えをしたとき|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1233.htm
最後にまとめ。
会社担当者向けの3つのチェックポイント。
①住宅ローン借換えの判断は「居住開始年月日」と「当初借入日」を比較して判断する。
→居住開始年月日が古い場合は、借換えをしていないか申告者に確認する。
②借換えの場合は申告者に「当初の住宅ローンの借換え直前の残高」がわかる書類を提出させる。
→当初の住宅ローンの借換え直前の残高を確認する。
③「当初の住宅ローンの借換え直前の残高」より「新たな住宅ローンの当初借入額」が多い場合は、年末残高の按分計算を行う。
→按分計算により住宅ローン控除の元となる年末残高を確定させる。
以上
written by tantosya-masao