改正育児・介護休業法により、2022年10月より、出生時育児休業の創設と育児休業の分割取得制度が施行されます。
本改正により、2022年10月1日以後に開始する育児休業等にかかる「育児休業等期間中の保険料の免除要件」も見直しされます。
厚生労働省は、保険料免除要件に見直しにあたり、『育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A』により、具体的な取扱いについて整理しています。
今回は、2022年10月からの法改正の概要を確認するとともに、給与・賞与時の社会保険料免除の取扱いについて、パターン別の判定チェックリストで確認します。
1.法改正の概要
1-1.育児介護休業法の改正
2022年10月からの改正内容は、「出生時育児休業の創設」と「育児休業分割取得の可能化」の2点です。
従前の育児休業制度と比較した変更点は以下の通りです。
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1-2.社保料免除要件の見直し
給与と賞与の社会保険料免除要件の見直しのポイントとしては、以下の3点です。
①出生時育児休業制度も、保険料免除の対象。
②同月内に開始日と終了日がある14日以上の育休取得も、給与保険料の免除対象。
※⽉末時点で育休取得している場合は、従前通り、免除。
③1か⽉超の育児休業等の取得者に限り、賞与保険料を免除対象。
2.給与の社保免除判定チェックリスト
2022年10月1日以降に開始した育児休業等の給与保険料が免除となるのは、以下の2つの場合です。
●月末要件
⽉末時点で育児休業等を取得している場合は、当月分の社会保険料は免除。【従来通り】
●14日要件
同月内に14日以上の育児休業等を取得している場合も、当月分の社会保険料は免除。【追加】
育児休業「等」に含まれる休業は、育介法で企業に対応義務のある育児休業・出生時育児休業のほか、企業による育児休業に関する制度に準ずる措置による休業も含まれます。[Q&A問2]
給与の社会保険料免除の原則の判定をチェックリスト形式で確認してみましょう。
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給与の社会保険料免除判定に用いる6つの判定要件の取扱いを確認しましょう。
【判定1】休業開始日
法改正の適用対象となるのは、施行日である2022年10月1日以降に開始した育児休業等が対象となります。[Q&A問23]
【判定2】対象月の月末の休業状態
社会保険料控除の対象月の月末時点で、育児休業等を取得している場合は、従前からの月末要件により、給与保険料は免除となります。
【判定3】開始日から終了日までの暦日数
社会保険料控除の対象月の月末時点で、育児休業等を取得していない場合は、同月内に14日以上の育児休業等を取得していることに該当するか否かの判定を行います。
休業期間中に土日等の休日、有給休暇など労務に服さない日が含まれていても、育児休業等日数に含まれます。[Q&A問10]
<例外>
ある月の月内に開始日と終了予定日の翌日がともに属する育児休業等が複数ある場合、育児休業等日数を合計した当該月の「合計育児休業等日数」が14日以上であれば(休業は連続していなくても可)、当該月の保険料を免除されます。[Q&A問8]
【判定4】前月以前から取得している育休等の取扱い
月末を含む育児休業等(開始日と終了予定日の翌日が異なる月に属する育児休業等)の日数は、14日要件の適用において考慮されません。「前月以前から取得している育児休業等」の最終月の保険料は、その月の月末日が育児休業等期間中であるか、その月の月中に当該育児休業等とは連続しない別途の育児休業等(14日以上)を取得している場合にのみ免除となります。[Q&A問7]
土日等の休日や有給休暇等の労務に服さない日を挟んで複数回の育児休業等を取得していた場合は、実質的に連続して育児休業等を取得しているため、1つの育児休業等とみなされます。[Q&A問18]
【判定5】出生時育児休業中の就業の有無
14日要件の判定に使用する「育児休業等日数」は、出生時育児休業中に労使間で合意した上で就業した日数は除かれます。[Q&A問8]
【判定6】就業日数減算後の休業日数
出生時育児休業における就業日数は、日単位の場合にはその日数、時間単位の場合にはその時間数を1日の所定労働時間で除した数(1未満の数は切り捨て)が就業日数となります。[Q&A問11]
なお、災害や突発的な事態への対応等、あらかじめ予定していない一時的・臨時的な就労については、事後的に育児休業等日数の算定から除く必要はありません。[Q&A問13]
3.賞与の社保免除判定チェックリスト
2022年10月1日以降の育児休業等の賞与保険料が免除となるのは、以下の場合です。
●賞与支給月の月末に育休等を取得しており、かつ、育休等期間が1か⽉超の場合
1月超の育児休業等については、従来通り月末時点に育児休業等を取得しているかどうかで保険料免除を判断するため、育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与に係る保険料を免除することとなります。[Q&A問14]
賞与の社会保険料免除の原則の判定をチェックリスト形式で確認してみましょう。
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賞与の社会保険料免除判定に用いる6つの判定要件の取扱いを確認しましょう。
【判定1】休業開始日
給与同様、施行日である2022年10月1日以降に開始した育児休業等が対象です。
【判定2】賞与支給月の月末の休業状態
賞与支給月の月末に「非休業」であれば、免除対象外となります。
【判定3】開始日から終了日までの月数
賞与保険料の免除対象外とする1か月以下の育児休業等期間の算定については、暦によって計算します。例えば、11月16日から12月15日まで育児休業等の場合、育児休業等期間はちょうど1か月であるため、賞与保険料の免除の対象外となります。[Q&A問14]
なお、賞与保険料の免除の基準となる「1か月超」については、暦日で判定し、 出生時育児休業における就業日数及び一時的・臨時的な就労は除きません。[Q&A問16]
【判定4】連続する2つ以上の育休等の有無
賞与支給月の月末の育児休業等に連続する育児休業等を取得していない場合で、育児休業等期間が1か月以下であれば、控除対象外となります。
【判定5】連続する2つ以上の育休等の取扱い
賞与支給月の月末の育児休業等に連続する育児休業等を取得し、1つの育児休業等とみなすか否かの判定を行います。
土日等の休日や有給休暇等の労務に服さない日を挟んで複数回の育児休業等を取得していた場合は、実質的に連続して育児休業等を取得しているため、1つの育児休業等とみなします。[Q&A問18]
【判定6】1つの育休等とみなし後の月数
1つの育児休業等とみなす場合、育児休業等の合算期間が1か月超であれば、控除対象となります。
🔎 育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版](令和4年4月1日、10月1日施行対応版)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html
以上
written by syaroshi-tsutomu