令和2年3月28日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大について を公表しました。
新型コロナ感染症の拡大に伴い、4月1日から6月30日までを緊急対応期間として、雇用調整助成金の特例措置を拡充しています。
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整として労働者に休業手当を支給し雇用を維持した場合に、事業主が支給した休業手当の一部を助成する制度です。
雇用安定事業として、雇用保険法第62条に規定されています。
今回は、新型コロナ感染症による雇用調整助成金の受給要件と助成内容の特例措置をまとめています。
🔄4月10日の厚生労働省の報道発表により記事更新。
0.厚生労働省の助成金拡大措置の動画解説
4月13日に、youtubeの厚生労働省チャンネル(MHLWchannel)に「雇用調整助成金の特例措置の拡大について」がアップされました。
まずは動画で概略を確認しましょう。
↓ 雇用調整助成金の特例措置の拡大について ↓
🔎 雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和2年4月13日現在【PDF】|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000621160.pdf
1.対象事業主の特例措置
1.1_雇用調整理由の緩和
<通常>
景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主。
<特例措置>
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)。
1.2_生産指標要件の緩和
<通常>
生産指標の減少(10%以上の低下)を、初回の休業等の届出前の3か月間について対前年比で確認。
<特例措置>
最近1か月の生産指標が、前年同期に比べ5%以上減少した場合には、生産指標の支給要件を満たしたものとして取り扱う。
1.3_設立年数要件の緩和
<通常>
生産指標を前年同期と比較できる事業主が対象であり、事業所設置後1年未満の事業主は前年同期と生産指標を比較できないため支給対象外。
<特例措置>
令和2年1月24日時点で、事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象。生産指標は初回の休業等計画届を提出する月の前月と、令和元年12月との1か月分の指標で比較。
1.4_クーリング期間の撤廃
<通常>
過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある場合、指定した対象期間の初日が当該事業主の直前の対象期間(一般事業主の支給対象事業主としての対象期間に限る。)の満了の日の翌日から起算して1年を超えていること。
<特例措置>
撤廃。
1.5_計画届の事後提出
<通常>
助成対象となる休業等を行うに当たり、「事前に」休業等の計画届を労働局又はハローワークに提出。
<特例措置>
令和2年1月24日以降に初回の休業等を行う計画届の提出について、令和2年6月30日までに提出すれば、休業前に提出があったものとして取り扱う。
1.6_休業規模要件の緩和 ★4/10追加
<通常>
休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上。
<特例措置>
休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/40(中小企業)、1/30(大企業) 以上。
1.7_短時間休業要件の緩和 ★4/10追加
<通常>
事業所等の労働者が一斉に休業する必要あり。
<特例措置>
一定のまとまりで行われる短時間休業も支給対象。
①立地が独立した部門ごとの短時間休業(部署・部門ごとの休業)
例)客数の落ち込んだ店舗のみの短時間休業、製造ラインごとの短時間休業
②常時配置が必要な者を除いた短時間休業(職種・仕事の種類ごとの休業)
例)ホテルの施設管理者等を除いた従業員の短時間休業
③同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業(勤務体制ごとの短時間休業)
例)8時間3交替制を6時間4交代制にして2時間分を短時間休業
1.8_申請書類の大幅な簡素化 ★4/10追加
<通常>
記載事項73事項。
<特例措置>
記載事項38事項。
🔎 雇用調整助成金の申請書類を簡素化します【PDF】|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000621646.pdf
2.対象労働者の特例措置
2.1_雇用保険被保険者要件の撤廃
<通常>
雇用保険被保険者が対象。
<特例措置>
雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める。
2.2_雇用保険被保険者期間要件の撤廃
<通常>
雇用保険被保険者期間が継続して6か月未満の労働者は除外。
<特例措置>
撤廃。
3.助成内容の特例措置
3.1_助成率の引き上げ
<通常>
中小企業3分の2、大企業2分の1。
<特例措置>
中小企業5分の4、大企業3分の2。
※1人も解雇しなければ中小企業は10分の9、大企業は4分の3まで支援。
3.2_支給限度日数の延長
<通常>
休業の初日から1年間で100日分、3年で150日分が上限。
<特例措置>
通常の支給限度日数とは別枠で、 緊急対応期間(4月1日~6月30日)の日数を確保。
3.3_残業相殺の停止 ★4/10追加
<通常>
支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給。
<特例措置>
当面停止。
4.特例措置の報道発表
▶…令和2年2月14日(金)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例を実施します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09477.html
(追加された主な特例措置)
・1.2_生産指標要件の緩和
…生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮。
・1.3_設立年数要件の緩和
…事業所設置後1年未満の事業主も助成対象。
・1.5_計画届の事後提出
…計画届の事後提出を可能へ。
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▶…令和2年2月28日(金)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の対象事業主の範囲の拡大について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09852.html
(追加された主な特例措置)
・1.1_雇用調整理由の緩和
…対象事業主を新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主に拡大。
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▶…令和2年3月4日(水)
新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09941.html
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▶…令和2年3月10日(火)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置を追加実施します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10098.html
(追加された主な特例措置)
・1.4_クーリング期間の撤廃
…過去に受給していた事業主に対する受給制限の廃止。
・2.2_雇用保険被保険者期間要件の撤廃
…雇用保険被保険者期間が6か月未満の労働者も助成対象へ。
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▶…令和2年3月28日(土)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10551.html
(追加された主な特例措置)
・1.2_生産指標要件の緩和
…生産指標要件を10%低下から5%低下。
・1.5_計画届の事後提出
…令和2年1月24日以降に初回の休業等を行う計画届の提出は、令和2年6月30日まで可能。
・2.1_雇用保険被保険者要件の撤廃
…雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象へ。
・3.1_助成率の引き上げ
…中小企業5分の4、大企業3分の2。※1人も解雇しなければ中小企業は10分の9、大企業は4分の3。
・3.2_支給限度日数の延長
…通常の支給限度日数とは別枠で、 緊急対応期間(4月1日~6月30日)の日数を確保。
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▶…令和2年4月10日(金)
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置を追加実施するとともに、申請書類の大幅な簡素化を行います
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10782.html
(行政リンク)
🔎 雇用調整助成金|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
以上
written by tantosya-masao