乙欄で扶養申告?従たる給与の扶養控除等(異動)申告書の提出者と税額計算

給与所得者が、扶養控除などの諸控除を受けるためには、『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を給与支払者に提出することが必要です。

この、『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』は、一の給与支払者にしか、提出することができません。

副業や兼業で二以上の会社に勤務している人は、『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を提出した勤務先の給与が「主たる給与」となります。

「主たる給与」以外の給与は、「従たる給与」となりますが、「従たる給与」を受ける勤務先でも、所定の要件を満たす場合は、扶養控除等の諸控除を考慮した源泉徴収税額での計算となります。

「従たる給与」の勤務先で、扶養控除などの諸控除を考慮した源泉徴収税額での計算を受けるための提出書類が、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』です

今回は、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』の提出者と税額計算について、確認します。

1.従たる給与の扶養控除等(異動)申告書を提出できる人

2か所以上から給与の支払を受け、1か所から受ける給与だけでは源泉控除対象配偶者について控除を受ける配偶者(特別)控除や扶養控除、障害者等の控除の全額が控除しきれない場合には、源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族を分けて他の給与の支払者に『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出することができます。

要するに、「主たる給与の額」が「所得控除の合計額」より、少ない人が、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出できる人です。

具体的な「主たる給与の額」の基準を、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』の様式で確認しましょう。

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「主たる給与の見積額等」の欄には、①~⑤の5つの金額欄があります。

以下の⑤の金額が②の金額より、多い人が、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出することができる人です。

①:主たるの給与の支払者から受ける給与額の収入金額の見積

②:①の給与に対する給与所得控除後の金額

③:①の給与から控除される社会保険料等の見積額

④:控除を受けられる配偶者(特別)控除額、扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額

⑤:③+④

🔎 従たる給与についての扶養控除等の(異動)申告|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_07.htm

2.従たる給与の扶養控除等(異動)申告書を提出した場合の税額計算

毎月の給与や賞与から源泉徴収する所得税は、源泉徴収税額表に基づき計算します。

🔎 令和5年分源泉徴収税額表|国税庁

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2022/02.htm

税額表には、甲欄、乙欄、丙欄の3種類があります。

「従たる給与」の勤務先での源泉徴収税の計算は、「乙欄」で計算することとなります。

『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出していない場合と、提出している場合の源泉徴収税額を例で確認します。

2-1.従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書を提出していない場合

『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出していない場合の源泉徴収税額の計算を確認します。

・源泉徴収税額表:月額表

・従たる給与の額:80,000円(給与)

・社会保険料等の控除額:なし

    ↓

・源泉徴収税額:2,450円

(80,000円×3.063%=2,450.4→2,450円 ※1円未満端数切捨て)

2-2.従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書を提出している場合

『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出している場合の源泉徴収税額の計算を確認します。

・源泉徴収税額表:月額表

・従たる給与の額:80,000円(給与)

・社会保険料等の控除額:なし

扶養親族等の数:1人

    ↓

・源泉徴収税額:840円

「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出がある場合には、扶養親族等1人につき1,610円を控除します。

例の場合、通常の乙欄の源泉徴収税額2,450円から1,610円を控除した840円が、源泉徴収税額となります。

🔎 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2520.htm


なお、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を提出しても、乙欄の適用者に、かわりはありませんので、年末調整の対象とはなりません。

乙欄の『給与所得の源泉徴収票』により、所得者本人は確定申告することが必要です。

以上

written by tantosya-masao