人事労務担当者が、理解しておきたい周辺知識といえば、仕訳でしょう。
会社の費用で多くの部分を占める人件費。
売上高に占める人件費の割合は売上高人件費率という重要な経営指標です。
適切な計算と適切な記録は、表裏一体です。
給与や賞与の支給、通勤費の支給、税金や社会保険料の控除、立替金の精算、会社負担の社会保険料の計上など、計算処理のあとには、仕訳という記録が必要となります。
今回は、仕訳の仕組みを5つの基本ブロックと8つの組み合わせブロックで理解し、具体的な給与仕訳の具体例で使い方を確認することとします。
1.仕訳の仕組み
はじめに、仕訳の仕組みを理解するために、5つの基本ブロックと8つの組み合わせブロックを確認します。
1-1.5つの基本ブロック
仕訳をするために必ず理解する必要があるのが、基本となる5つのブロックです。
早速、表で確認します。
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この5つのブロック、超重要です。
頭にいれましょう。
企業活動は、貸借対照表(BS= Balance Sheet)と損益計算書(PL=Profit and Loss Statement)の2つの財務諸表に記録されます。
5つのブロックは、貸借対照表(BS)の3つのブロック、損益計算書(PL)の2つのブロックで、構成されています。
それぞれのブロックの意味を簡単に説明します。
❶資産(BS)
現金・土地や商品など会社が保有する財産。流動資産、固定資産、繰延資産の3つに大別される。
❷負債(BS)
銀行からの借金などマイナスの財産。流動負債、固定負債の2つに大別される。
❸純資産(BS)
株主からの出資金や利益の蓄積など会社自身の財産。資産から負債を減じた額が純資産となる。株主資本、評価・換算差額等、新株予約権の3つに大別される。
④収益(PL)
売上や受取利息など会社が得た収入。売上高、営業外収益、特別利益の3つに大別される。
⑤費用(PL)
給与や仕入など会社が支払った経費。売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失、法人税等の5つに大別される。
給与仕訳に純資産を使うことは、まず、ないので、給与仕訳するには4つのブロックがわかれば困りません。
1-2.8つの組み合わせブロック
仕訳の原則といえば、貸借一致の原則。
貸借とは、借方(かりかた)と貸方(かしかた)のこと。
借方は左側、貸方は右側に配置されます。
前述の5つの基本ブロックを左側(借方)と右側(貸方)に配置することで、仕訳は完成します。
貸借一致の原則に沿ったブロックの配置は限定されます。
具体的には8つの組み合わせブロックを、理解すれば足ります。
表で確認します。
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❶資産の増加(借方)
❷負債の減少(借方)
❸資本の減少(借方)
④費用の発生(借方)
➎資産の減少(貸方)
❻負債の増加(貸方)
❼資本の増加(貸方)
⑧収益の発生(貸方)
給与仕訳でよく使用するのは④費用の発生、❻負債の増加、➎資産の減少の3つです。
2.給与仕訳の具体例
前述の8つの組み合わせブロックをどのようにつなげることで、給与仕訳を完成させるのか、具体例で確認していきましょう。
2-1.支給控除の内容
(1)従業員へ給与30万円を支給した。…④費用の発生
(2)従業員へ通勤手当1万円を支給した。…④費用の発生
(3)従業員から健康保険料1万円、厚生年金保険料2万円を控除した。…❻負債の増加
(4)雇用保険料1千円を控除した。…➎資産の減少
(5)所得税1万円、住民税1万円を控除した。…❻負債の増加
(6)従業員の指定口座へ25万9千円を振込した。…➎資産の減少
2-2.給与仕訳の内容
2-1の場合の、一般的な給与仕訳は以下となります。
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基本的な仕訳の仕組みがわかれば、難しいことはありません。
基本が理解できれば、給与の支給・控除・会社負担の各項目に勘定科目を紐づけることで、簡単に仕訳を行うことが可能です。
特殊なケースなど、具体的な仕訳方法がわからないときは、ネットで検索!
即、解決します。
以上
written by tantosya-masao