雇用保険の財源枯渇?2022年度の雇用保険料率は2段階で引き上げ

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雇用保険制度の財源が、ほぼ、枯渇しました。

雇用保険制度には、大きく2つの財源があります。

失業給付費に充てる「積立金」と、雇用安定事業費に充てる「雇用安定資金」です。

いずれも、好況期に積み立て、不況期の財源となります。

長期にわたるコロナ禍の影響で、事業主への雇用調整助成金が大幅に増加し、「雇用安定資金」は2020年度に底をつき、失業給付費にあてる「積立金」から借り入れ等で賄う状況が続いていました。

その「積立金」も、2022年度には枯渇します。

2022年1月7日、厚生労働省の労働政策審議会は、2022年4月より雇用保険二事業の料率を、2022年10月からは失業給付等の料率を、引き上げる方針を承認しました。

今回は、雇用保険財源の推移状況と2022年度の雇用保険料率の引き上げ予定について確認しましょう。

1.雇用保険の給付体系

財源推移と料率引き上げの前に雇用保険の給付体系をおさらいします。

雇用保険制度は、大きくは3つの制度で構成されています。

一つ目は、失業者への失業等給付、高齢継続雇用者や介護休業者等への雇用継続給付等の制度。

二つ目は、育児休業者への育児休業給付の制度。

三つ目は、失業予防に努める事業主への雇用調整助成金等の制度。いわゆる二事業。

体系図は、以下を参照しましょう。

🔎 雇用保険制度の概要|ハローワークインターネットサービス

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_summary.html

2.雇用保険の財源推移

雇用保険の財源も、前述の「失業等給付」・「育児休業給付」・「雇用保険二事業」の3つの制度単位で管理されています。

「育児休業給付」は2020年度より、失業等給付とは異なる給付体系に位置付けられ、育児休業給付の収支を失業等給付とは区分することとなっています。

「失業等給付」と「雇用保険二事業」の財源の推移を、労働政策審議会の資料で、確認してみましょう。

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2015年度(平27)に、6.5兆円もあった積立金は、2022年度(令4)の見込みでは、0.05兆円とほぼ枯渇します。

枯渇の理由は、失業給付費の増加ではなく、雇用安定資金への貸し出しです。

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2019年度(令元)に、1.5兆円あった雇用安定資金は、コロナ禍により、2020年度(令2)に早々に枯渇。

失業等給付の積立金から借り入れ等で賄っている状況です。

3.雇用保険の料率引上げ

2022年度の雇用保険料率の引き上げは2段階で実施される予定です。

「一般」事業の料率の引き上げは以下の表を参照ください。

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4月からは雇用保険二事業の保険料率が、10月からは失業給付等の保険料率が引き上げ予定です。

2022年度の雇用保険料率が決定すると、以下のページが更新されますので、確認しましょう。

🔎 雇用保険料率について|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

以上

written by suchika-hakaru

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