人事労務部門必見!労働・社会保険関係2022年度法改正の11のまとめ

2022年度は、育児・介護休業法など、労働・社会保険法令の改正が、複数施行されます。

人事労務部門では、法改正に則した規則・規程類の改定や、改定内容の周知等が必要となります。

今回は、2022年度の人事労務部門に関係する11の主要な法改正内容を、行政の参照先とあわせ、時系列で紹介します。

▼2022年4月施行

【1】雇用環境整備・個別周知意向確認の義務化と有期雇用者の休業取得要件の緩和(育児介護休業法)

2021年6月の改正育児・介護休業法は、2022年4月・2022年10月・2023年4月の3段階にわけて施行されます。

2022年4月に施行されるのは、「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」と「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」です。

「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」

●雇用環境整備

育児休業と出生時育児休業(産後パパ育休)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は必要な措置を講じなければなりません。

必要な措置とは、以下の4つのいずれかの措置です。

①育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
②育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③自社の労働者の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供
④自社の労働者へ育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

●個別の周知・意向確認の措置の義務化

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する事項の周知と休業取得の意向確認の措置を、個別に行わなければなりません。

周知事項は、以下の4つのすべての事項です。

①育児休業・出生時育児休業に関する制度(制度の内容など)
②育児休業・出生時育児休業の申出先(例:人事部など)
③育児休業給付に関すること(例:制度の内容など)
④労働者が育児休業・出生時育児休業期間に負担すべき社会保険料の取扱い

「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」

有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件が緩和され、無期雇用労働者と同様の取り扱いとなります。

<対象企業>

すべての企業

<行政リンク>

🔎 育児・介護休業法について|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

【2】パワハラ防止措置の義務化(労働施策総合推進法)

2019年の労働施策総合推進法の改正により、職場におけるパワーハラスメントについて事業主に防止措置を講じることを義務付けられました。相談したこと等を理由とする不利益取扱いも禁止されています。

職場におけるパワーハラスメントは、以下の3つの要素のいずれも満たすものをいいます。

①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの

<対象企業>

中小企業(大企業では2020年6月より義務化)

<行政リンク>

🔎 職場におけるハラスメントの防止のために|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

【3】女性活躍推進法の適用範囲の拡大(女性活躍推進法)

2022年4⽉から改正⼥性活躍推進法が全⾯施⾏され、対象企業が常時雇用労働者数101人以上の事業主まで拡大されます。

事業主は、一般事業主⾏動計画の策定や情報公表が必要です。

常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主には、以下の4つの取り組みが義務化されます。

①自社の⼥性の活躍に関する状況把握、課題分析
②1つ以上の数値目標を定めた⾏動計画の策定、社内周知、公表
③⾏動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出
④⼥性の活躍に関する1項目以上の情報公表

<対象企業>

常時雇用労働者数101人以上の企業(301人以上からの引下げ)

<行政リンク>

🔎 女性活躍推進法特集ページ|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

【4】在職老齢年金制度の見直し(厚生年金保険法)

厚生年金保険法の改正により、65歳未満の在職老齢年金の支給停止の基準額が変更となります。

支給停止の基準額は「28万円」から「47万円」に引上げとなり、65歳以上の在職老齢年金の支給停止の基準額と同一となります。

<対象企業>

年金の支給停止額を勘案し高齢者雇用制度を設計している企業

<行政リンク>

🔎 在職老齢年金の計算方法|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html

【5】企業型DCの受給開始時期の選択肢の拡大(確定拠出年金法)

確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)における老齢給付金の受給開始の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられます。

<対象企業>

確定拠出年金の導入企業

<行政リンク>

🔎 受給開始時期の選択肢の拡大|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2020kaisei.html#20220401

【6】個人情報保護法の改正(個人情報保護法)

2020年の改正個人情報保護法は、2022年4月1日に全面施行されます。

改正法では、主に、以下の6つの事項が、変更されます。

①個人の権利の在り方
②事業者の守るべき責務の在り方
③事業者による自主的な取組を促す仕組みの在り方
④データ利活用に関する施策の在り方
⑤ペナルティの在り方
⑥法の域外適用・越境移転の在り方

<対象企業>

すべての企業

<行政リンク>

🔎 改正個人情報保護法対応チェックポイント|個人情報保護委員会

https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihogohou_checkpoint/

▼2022年5月施行

【7】企業型DCの加入可能年齢の拡大(確定拠出年金法)

企業型DCは、従来は、原則、60歳未満の厚生年金被保険者が加入することができました。

2022年5月からは、70歳未満の厚生年金被保険者であれば加入することができるようになります。

<対象企業>

確定拠出年金の導入企業

<行政リンク>

🔎 企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2020kaisei.html#20220501

▼2022年10月施行

【8】社会保険の適用拡大(厚生年金保険法・健康保険法)

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、厚生年金保険の短時間労働者への適用拡大にかかる見直しも行われました。

企業規模要件は、2022年10月からは100人超規模へ、2024年10月からは50人超規模へ段階的に引き下げられることが決定しています。

<対象企業>

厚生年金保険の通常の被保険者数101人以上500人以下の企業

<行政リンク>

🔎 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

【9】出生時育児休業の創設と育児休業分割取得の可能化(育児介護休業法)

出生時育児休業(産後パパ育休)とは、産後休業をしていない労働者が、原則出生後8週間以内の子を養育するためにする休業のことです。

育児休業とは別に取得可能です。

従来の育児休業と同様、労働者が容易に取得できるように、事業所にあらかじめ制度を導入し、就業規則の整備等必要な措置を講じなければなりません。

育児休業は、1歳までの育児休業は分割して2回取得可能となります。出生時育児休業(産後パパ育休)とは別に取得可能です。

<対象企業>

すべての企業

<行政リンク>

🔎 育児・介護休業法について|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

【10】育休期間中の社会保険料免除要件の変更(厚生年金保険法・健康保険法)

従来は、⽉末時点で育休取得している場合は、給与も賞与も社会保険料は免除されていました。

2022年10月からは、給与・賞与の免除要件は、以下の通り、変更されます。

●給与

以下のいずれかに該当する場合、社会保険料が免除されます。

・⽉末時点で育休取得している場合は、当月分の社会保険料を免除する。【従来通り】
・月内に2週間(14日)以上の育休取得をしている場合も、当月分の社会保険料を免除する。【法改正】

●賞与

1か⽉超の育休取得者に限り、賞与の社会保険料が免除されます。【法改正】

<対象企業>

すべての企業

<行政リンク>

🔎 育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A【PDF】|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220413S0010.pdf

【11】企業型DC加入者の個人型DC加入要件の緩和(確定拠出年金法)

2022年10月からは、企業型DCの加入者は規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに原則加入できるようになります。

<対象企業>

確定拠出年金の導入企業

<行政リンク>

🔎 企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2020kaisei.html#20221001

以上

written by sharoshi-tsutomu