いつ削除?退職した従業員のマイナンバーの保管期限と廃棄・削除方法

1005_担当者まさおの体系整理
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マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)は、2016年1月1日より開始されています。

制度開始から、2023年1月で、丸7年が経過したこととなります。

マイナンバー制度開始にあたり、企業側では、マイナンバー収集・保管・利用・廃棄について運用方法を定め、厳格な運用を継続してきました。

制度導入から7年が経過し、退職した従業員のマイナンバーの廃棄・削除について最適な業務プロセスの構築・運用が求められます

今回は、今後、企業側の対策が必須となる退職した従業員のマイナンバーの廃棄・削除の対応について、確認しましょう。

1.マイナンバーの保管期限と廃棄・削除時期

はじめに、マイナンバーの保管期限と廃棄・削除時期について、確認します。

1-1.保管期限

企業が従業員から収集したマイナンバーの廃棄・削除が必要となるのは、個人番号関係事務を処理する必要がなくなった場合で、かつ、所管法令において定められている保存期間を経過したときです。

所管法令において定められている主な法定帳簿の保存期間について、確認しましょう。

●税務関連書類

以下のような税務関連書類の保存期間は、「その申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間」です。

・給与所得の源泉徴収票
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の配偶者控除申告書
・給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
・退職所得の源泉徴収票
・退職所得の受給に関する申告書

🔎 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2503.htm

●社会保障関連書類

雇用保険、健康保険、厚生年金保険、労災保険関係の保存期間は以下の通りです。

・雇用保険に関する書類

その完結の日から2年間(被保険者に関する書類にあつては、4年間)

・労災保険に関する書類

その完結の日から3年間

・健康保険、厚生年金保険に関する書類

その完結の日から2年間

保存期間を長い順に並べると、税務関連7年、雇用保険4年、労災保険3年、健保厚年2年となります。

1-2.廃棄・削除時期

制度開始から丸7年が経過し、企業側でマイナンバーの廃棄・削除で対応が必要なのは、退職した従業員のマイナンバーです。

退職者のマイナンバーは、所管法令で定められた保存期間を勘案し、廃棄・削除することとなります。

所管法令で定められた保存期間で、一番長いのは、税務関連書類の7年です。

つまり、退職者のマイナンバーは、税務関連書類の保存期間である「その申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間」を経過した日が、最も早く、廃棄・削除することが可能です。

言葉だけではわかりにくいので、図で、確認しましょう。

↓ クリックして拡大 ↓

結論として、退職した従業員のマイナンバーは、「退職年の8年後の1月11日」が廃棄・削除の最早日です。

いつまでに、廃棄・削除するかは、企業の判断に委ねられています。

個人情報保護委員会の特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)では、「所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならない。」とされています。

2.マイナンバーの廃棄・削除方法と記録義務

つぎは、マイナンバーの廃棄・削除方法と記録義務について、確認しましょう。

2-1.廃棄・削除の方法

マイナンバーの廃棄・削除は、保管方法により、適切な対応が求められます。

●電子データ(情報システム)で保存している場合

情報システムを利用しマイナンバーを保存している会社は、システムの設定で、削除予定日をスケジューリングし、企業側で定めたサイクルで削除実行することが必要です。

●書類(紙)で保存している場合

復元できないように焼却またはシュレッダーで断裁が必要です。

外部業者で溶解処理をする場合は「廃棄証明書」を取得しましょう。

●書類(紙)を廃棄できない場合

書類そのものは保存が必要な場合、マイナンバー箇所のマスキングや切り抜きを行うことが必要です。

2-2.廃棄・削除の記録義務

マイナンバーの廃棄・削除にあたっては、企業側に記録義務があります。

記録事項は、特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)で、以下のように例示されています。

特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)
取扱状況を確認するための記録等としては、次のものが挙げられる。
・ 特定個人情報ファイルの種類、名称
・ 責任者、取扱部署
・ 利用目的
・ 消去・廃棄状況
・ アクセス権を有する者

情報システムの場合は、削除したシステムログを記録として使用することが可能です。


最後にまとめ。

・退職者のマイナンバーは所管法令の保存期間を超えないと廃棄・削除ができない。

・所管法令の保存期間は税務関連書類の7年が一番長い。

・退職者のマイナンバーは税務関連書類の保存期間を経過したら廃棄・削除可能。廃棄・削除した記録は残す。

マイナンバーは、廃棄・削除を前提とした保管体制とシステム構築をすることが望ましい。

以上

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