高校無償化制度は2010年4月1日に開始された国の制度です。
制度の正式名称は高等学校等就学支援金制度。
各都道府県は国の就学支援金制度に上乗せ支援をすることで支援の充実を図っています。
国の就学支援金制度には所得制限が設けられています。
支援の対象となる世帯年収の目安は910万円未満。
東京都は、2024年度より世帯年収の所得制限を撤廃し、私立高校も実質無償化されました。
在住する都道府県により、私立高校生の保護者への就学補助には、大きな差があります。
今回は、南関東4都県(埼玉・千葉・東京・神奈川)の私立高校の補助制度の状況を確認します。
1.国の高等学校等就学支援金制度の内容
はじめに、国の制度を確認します。
国の制度は、国が都道府県に対して就学支援金を交付、都道府県は生徒等の保護者等に代わり高等学校等の授業料に充てるため支援金を支給します。
就学する高等学校等は、全日制・定時制・通信制は問いません。
ただし、国の就学支援金制度には所得制限があります。
所得制限の額は、世帯年収の目安が910万円未満です。
就学支援金の額は私立高校(全日制)の場合、世帯年収590万円未満であれば、39万6000円です。
世帯年収590万円以上年収910万円の場合は、公立高校に通う場合のみ、11万8800円の支援金を受けることができます。
詳細については、以下の文部科学省のページを確認しましょう。
🔎 高等学校等就学支援金制度|文部科学省https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm
2.南関東4都県の私立高校の補助制度の現状
つぎに南関東4都県(埼玉・千葉・東京・神奈川)の私立高校の補助制度を確認します。
2-1:埼玉県
埼玉県の補助制度を受ける要件は、生徒・保護者がともに埼玉県内に在住していることです。
また、就学する学校は、埼玉県内の学校に限られます。
<全日制>
◆授業料
年収590万円以上720万円未満世帯…28万4200円上乗せ(生活保護・家計急変世帯は全額補助)。
◆施設設備費等
年収500万円未満世帯…20万円補助(生活保護・家計急変世帯は全額補助)。
◆入学金
年収610万円未満世帯…10万円補助。
2-2:千葉県
千葉県の補助制度は、私立高校の設置者に対する補助となります。
保護者へ直接授業料を補助するものではありません。
千葉県内の私立高校在籍が要件となるため、千葉県外の私立高校は対象外です。
<県内私立高等学校>
◆授業料
年収640万円未満世帯…月額授業料の全額から就学支援金を除いた差額を免除(授業料全額免除)。
年収640万円以上750万円未満世帯…月額授業料の3分の2から就学支援金を除いた差額を免除。
◆入学金
生活保護及び年収350万円未満世帯…入学金の全額又は15万円のいずれか低い方の額を減免。
2-3:東京都
東京都は、2024度から、私立高等学校等授業料軽減助成金の所得制限を撤廃しました。
補助を受けるには、保護者と生徒が東京都内に住所を有している在住要件があります。
なお、東京都外の学校であっても補助の対象となります(通信制課程は除く)。
<全日制・定時制>
◆授業料
世帯年収にかかわらず、国の就学支援金と東京都の授業料軽減助成金をあわせて最大で48万4000円まで補助。
2-4:神奈川県
神奈川県の補助制度には、授業料の補助と入学金の補助があります。
授業料の補助は、生徒・保護者ともに県内在住であれば、県外設置の高校でも対象となります。
入学金の補助は、生徒・保護者ともに県内在住、かつ、県内設置の高校に限られます。
<私立高校>
◆授業料
年収700万円未満世帯…授業料と国の支援金の差額を補助(最大46万8000円)。
年収700万円以上750万円未満世帯…7万4400 円上乗せ(最大19万3200 円)。
年収750万円以上910万円未満の多子世帯…授業料と国の支援金の差額を補助(最大46万8000円)
※多子世帯とは、23歳未満の扶養している子どもが3人以上いる世帯。
◆入学金
生活保護・住民税非課税世帯…21万1000円を補助。
年収270万円以上750万円未満世帯…10万円を補助。
文部科学省は、都道府県別の私立高校生への支援補助制度をまとめています。
🔎 令和3年度都道府県別私立高校生(全日制)への修学支援事業【PDF】|文部科学省
全国47都道府県の補助状況について確認できますので、ご参照ください。
以上
written by suchika-hakaru