お役所言葉とは公文書などで使用される独特の表現や言い回しのこと。
馴染みのないカタカナ語、難しい専門用語、固い言い方は、多くの人にとって理解しづらいです。
一部の地方自治体では、お役所言葉の改善のための言い換え集も作られています。
言いたいことをはっきりと、短く要点を押さえて述べるのが、伝わる文章を書くための鉄則です。
今回はお役所言葉の言い換え例で簡潔にわかりやすく伝わる文章の書き方を学びましょう。
1.カタカナ語の言い換え
一見かっこいいカタカナ語の乱用の例を確認します。
「情報セキュリティのガバナンス向上のため、デジタルアーカイブへのアクセスをリアルタイムでモニタリングすることをオフィシャルにリリースしました。」
ほとんど、頭に入ってきません。
カタカナ語を日本語に言い換えると意味が伝わります。
「情報管理体制の向上のため、保存電子情報への接続状況を常時監視することを正式に発表しました。」
多くの人にとって馴染みの薄いカタカナ語は、日本語に変換する作業が必要となり、読み手に負担をかけます。
カタカナ語は日本語で言い換えできるか検討しましょう。
2.専門用語の言い換え
法令用語等の専門用語も一般の人には難解な印象を与えます。
例えば役所の施設の利用申し込みをしたときの対応を例として確認しましょう。
「施設利用の申請を受理いたしましたので、審査の上、許可の可否を通知いたします。決定に対しご不明な点があれば担当部までお問い合わせください。」
「申請」・「受理」・「審査」・「許可」等は代表的なお役所言葉です。
日常の言葉に言い換えると以下となります。
「施設利用の申し込み内容を確認の上、結果は後日ご連絡いたします。結果にご不明な点がございましたら遠慮なく担当部までご連絡ください。」
施設利用の申込者に伝えたいことは、結果は後日連絡すること、不明点は担当部へ連絡してよいことの2点です。
専門用語は日常用語に言い換えられるか検討しましょう。
3.まわりくどい表現の言い換え
まわりくどい表現も敬遠されます。
まわりくどい表現は、読み手(受け手)にとって余計な解釈を必要とする可能性があります。
コミュニケーションの効果を低下させ、誤解や不明瞭さを引き起こすリスクが高まります。
「陳述いたしますが、本件につきましては、参加の可否を検討した結果、許可を与えることとなりましたので、参加申し込みを希望する方は〇〇月〇〇日まで受け付けておりますので、ご来場ください。」
はじめの陳述の言葉からまわりくどい印象を与えます。
「この件は参加可能となりました。申込期限は〇〇月〇〇日までです。参加希望の方はご来場ください。」
短文で区切ることで簡潔に伝えることができます。
まわりくどく冗長な文とならないよう簡潔な短文で言い切れるか検討しましょう。
4.無機質な表現の言い換え
事務的な表現は読み手には上から目線で冷たい印象を与えます。
「現下の市民からの疑義は甚だ遺憾であり、可及的速やかに遺漏なき対処をするよう庁内に喚起した。」
謝罪をされた印象を受けません。
そもそも遺憾とは残念の意味で、謝罪の意味はありません。
平易な言葉に言い換えてみましょう。
「この度は市民の皆さまにご心配をおかけし本当に申し訳ありません。できるだけ早く確実な対策をするよう役所内に指示をしました。」
ビジネスの現場でも往々にありますが、謝罪の場面で、難解な用語を多用することは逆効果です。
責任逃れや時間稼ぎのような印象を与えないよう素直な表現に言い換えを検討しましょう。
5.否定的な表現の言い換え
否定的な表現は命令口調で読み手の印象も悪いです。
「事前予約していない人の駐車場の利用はできません。」
これを肯定的な表現にすると以下となります。
「事前予約している人は駐車場の利用ができます。」
言っていることは一緒ですが、否定表現は命令口調で禁止されている印象を受けます。
ルールを守れと言われている感じですね。
一方、肯定表現は利用するときは事前予約してね。という利用者への配慮を感じます。
否定的な表現は肯定的な表現に言い換えできるか検討しましょう。
地方自治体のお役所言葉の改善の取り組み事例は以下を参照ください。
🔎 実践!やさしい日本語による公文書|港区
🔎 お役所言葉改善みちしるべ|銚子市
🔎 「お役所言葉」改善の手引き|中津川市
以上
written by soudanin-hajime