新型コロナで失業・廃業!国民年金保険料の特例免除の該当要件と申請方法

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044_新型コロナで失業・廃業!国民年金保険料の特例免除の該当要件と申請方法
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日本居住の20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入することとなっています。

国民年金被保険者は第1号から第3号までの3種類にわけられており、そのうち自営業や無職の人は、国民年金第1号被保険者として国民年金保険料の納付義務を負います。

令和2年度の国民年金保険料は1か月当たり16,540円です。

新型コロナウイルス感染症の影響により失業や廃業を余儀なくされ、国民年金保険料の納付が困難となる人が今後も増加することが見込まれます。

今回は、新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合に活用できる免除制度の特例制度と申請方法についてご紹介します。

1.国民年金の免除制度

はじめに、国民年金保険料の免除によるメリットと、免除制度の概要について確認します。

1-1.未納と免除の違い

国民年金保険料を払わない「未納」と、払えない「免除」では大きな違いがあります。

●未納期間は受給資格期間に算入されないが、免除期間は受給資格期間に算入される

※受給資格期間とは、年金を受けるために必要な加入期間のこと。老齢基礎年金の受給資格期間は10年間です。

●未納期間は年金額へ反映されないが、免除期間は年金額に一部反映される

※年金額の反映割合としては、全額免除は2分の1、4分の3免除は8分の5、半額免除は4分の3、4分の1免除は8分の7です。

老齢基礎年金の支給額の半分は国庫負担(税金)で賄われています。

未納ではなく、免除とすることで、国庫負担分については、保険料を納付した場合と同様に受け取ることができるのです。

未納期間は、1円も年金はもらえません。

要件に該当する人は、免除制度を活用しましょう。

厚生労働省の年金パンフレットに「未納と免除の違い」について記載されている箇所がありますので以下に抜粋しています。ご参照ください。

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1-2.免除の種類

国民年金保険料の免除には「法定免除」と「申請免除」の2種類があります。

●法定免除

障害基礎年金を受けている人や生活保護法に基づく生活扶助を受けている人などが該当します。

●申請免除

前年の所得が少ないなど経済的な理由で保険料を納めることが困難な人が該当します。

法定免除は要件に該当すれば、自動的に免除されます。

申請免除は、その名の通り、本人の申請により免除されます。

申請免除は、所得の状況によって「全額免除」「半額免除」「4分の3免除」「4分の1免除」の4種類にわかれます。

それぞれの免除区分の所得要件は、前年所得(又は前々年)が以下の計算式で計算した金額の範囲内であることが必要です。

○全額免除

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

○4分の3免除

78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

○半額免除

118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

○4分の1免除

158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

具体的な所得基準については、以下の所得判定基準表(目安)を参照ください。

↓ クリックして拡大 ↓

・(  )の金額が収入の目安となります。 一部免除は社会保険料控除額等の控除額によって変わります。子は、16歳未満の場合です。

2.特例免除の該当要件

それでは、本題の国民年金の特例免除制度とその該当者を確認します。

2-1.通常免除と特例免除の違い

通常、申請免除をする場合には、「本人の所得」「配偶者の所得」「世帯主の所得」の3つの所得審査を受けることとなります。

これが、特例免除に該当する場合は、「本人の所得」は除外して審査されます。

なお、 保険料連帯納付義務者 である「配偶者の所得」「世帯主の所得」の審査はありますので、配偶者や世帯主に申請免除の所得基準を超える所得があるときは免除が認められないこととなります。

2-2.特例免除に該当する人

特例免除には以下のような人が該当します。

●震災、火災、風水害などの災害で、財産のおおむね2分の1以上の損害を受けた人

●配偶者からの暴力(DV)により配偶者(DV加害者)と住居が異なる人

失業や廃業などにより保険料の支払いが困難になった人

まさに、新型コロナ感染症の影響により失業や廃業(または休止)を余儀なくされた人は、特例免除に該当する人となります。

日本年金機構のホームページでも、以下のお知らせにより、一般に広く制度の活用を進めています。

🔎 新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200312.html

3.特例免除の申請方法

さいごに、国民年金保険料の免除を受けるための申請先や必要書類について確認しましょう。

3-1.申請先

住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口(郵送による提出も可)

3-2.申請書類

申請書類は、失業した場合と廃業(又は休止)した場合で、申請書類が異なります。

失業した場合

❶国民年金保険料免除・納付猶予申請書

❷年金手帳(氏名の記載のページ)または基礎年金番号通知書のコピー

雇用保険の被保険者であった人は、以下のいずれかの書類も必要です。

③雇用保険受給資格者証のコピー

…公共職業安定所(ハローワーク)で失業保険を受け取る際に交付される書類です。

④雇用保険被保険者離職票等のコピー

…退職時に会社から交付される書類で、失業保険の請求時に公共職業安定所(ハローワーク)に提出する書類です。
廃業(又は休止)した場合

❶国民年金保険料免除・納付猶予申請書

❷年金手帳(氏名の記載のページ)または基礎年金番号通知書のコピー

以下の③~⑦のいずれかの書類も必要です(④~⑦については、あわせて失業の状態にあることの申立ても必要)。

③総合支援資金の貸付決定通知書のコピーおよびその申請をした時の添付書類のコピー

④履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書   

⑤税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書のコピー(受付印のあるものに限る。)   

⑥保健所への廃止届出書(控)(受付印のあるものに限る。)または廃止届証明書

⑦その他、公的機関が交付する証明書等であって、失業の事実が確認できる書類


国民年金保険料免除・納付猶予申請書の記載方法については、youtubeの厚生労働省チャンネルに説明動画が公開されていますので、確認するとよいでしょう。

国民年金保険料免除・納付猶予申請書の記載方法について|MHLWchannel


国民年金保険料の免除や納付猶予の申請を行うときの申請書の記載方法が説明されています。

以上

written by sharoshi-tsutomu

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