「世の中の大半のものはノイズである。」
本書で紹介されている一節です。
テレワークが常態化し、家庭に仕事を持ち込むことが日常となりました。
公私の境目は曖昧になり、生活空間は、やるべきことで溢れています。
瑣末なことを繰り返す毎日をどうにかしたい。
そのような人におすすめの思考法が、グレッグ・マキューン著の『エッセンシャル思考~最少の時間で成果を最大にする~』です。
多数の瑣末なことから解放され、価値あることに集中する術が凝縮されています。
読みすすめるだけで、爽快な気持ちになります。
本書のテーマである「より少なく、しかしより良く」のエッセンスを、見極める→選択する→凝縮するの、3つの観点で紹介します。
1.見極める
「ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値である。」
仕事はできる人に集中します。
上司・同僚・顧客からの依頼、そして、自らの着想は、仕事量を加速度的に増やします。
他者からの期待や自尊心は、人を動かす力です。
それを心理学者のマズローは「承認要求」という言葉で、説明しています。
人として本質的に備わっている欲求が、ものごとの本質を見極めることから遠ざけます。
量をこなすことによる評価は、最後は行き詰ります。
行き詰ったあとは、他者からの評価も自尊心も、維持することは難しいでしょう。
そうなる前にやるべきことは、見極めることです。
本書では、見極めることこそが、エッセンシャル思考の神髄だ。と説きます。
ほとんどのことが無価値であるということをしれば、見極めることは当然のことでしょう。
価値あることはほとんどない。のですから、働きすぎは禁物です。
本書の一節が、核心です。
量をこなすだけの行動から、質をあげるための行動への転換が必要です。
2.選択する
「何かを選ぶことは、何かを捨てること。」
どんな人であっても、同時に複数のことはできません。
人は選択を繰り返します。
この選択を、経営者が誤れば、会社は存続すら危ぶまれます。
どの問題がいちばん重要かという観点のない経営は衰退します。
規律なき拡大は失敗への道として、本書は断言します。
個人にも同じことがいえます。
どうでもよいと思える仕事を押し付けられ、淡々とこなすだけの毎日で得られるものは、充実感ではなく、焦燥感でしょう。
他人の選択を自分の選択にしないこと。
本書では、エッセンシャル思考の人は選ぶ力を無駄にしないと説きます。
その価値を理解し、大切に実行するのがエッセンシャル思考の人です。
その理由が、核心です。
マズローの5段階欲求の最終段階も、まさに、「自己実現の欲求」です。
自分らしく生きることを選択しましょう。
3.凝縮する
「すみません、もっと時間があればもっと短い手紙が書けたのですが」
名言です。
考えることの本質をついています。
会社の経営理念や行動指針をきちんと覚えている人は、ほとんどいないでしょう。
安心してください。
「こんな大事なことも覚えていないのか」と怒られたときの対処法が本書でわかりました。
「大事なことが多すぎるのです。」と返せばよかったのです。
話が長い、メールが長い、会議が長い。
仕事において、長いことは、とかく、疎まれます。
働き方改革という言葉で、ついに、仕事の時間が長いことも、よくない時代となりました。
凝縮することこそが、より少ない努力で大きな成果を出すことであると、本書は説きます。
凝縮するためには、ゴールは明確でなければなりません。
不要なことを捨て、本質を見極め、やるべきことを選択し、ゴールを明確にすれば、あとは着実に進むだけです。
エッセンシャル思考は、以下の問いに答えることからはじまります。
最小の時間で成果を最大にするための、第一歩の言葉です。
本書を読んでわかったこと。
・価値あるものを「見極めること」の重要性。
・自分で「選択すること」の重要性。
・最大の成果を得るために「凝縮すること」の重要性。
以上
written by yondara-wakaru