保険料は自己負担?自転車配達員とITフリーランスの労災保険の特別加入の手続き

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2021年9月1日より、労災保険の特別加入制度の対象が拡大されました。

新たに追加となったのはウーバーイーツなどの自転車配達員フリーランスのITエンジニアです。

一般的な会社員は、労災保険の仕組みにより、業務上の怪我や病気、障害や死亡に対して、労働者やその遺族のために必要な給付を受けることができます。

一方で、自転車配達員やITフリーランスは、会社に雇用されない業務委託の形態となりますので、本来は、労災保険制度の対象外です。

今般の法改正により、自転車配達員やITフリーランスも、自己負担で保険料を納めることで、労災保険制度に特別加入することができるようになりました。

今回は、労災保険の特別加入制度の概要を確認するとともに、加入方法や負担する保険料について確認してみましょう。

1.労災保険の特別加入制度とは

はじめに、労災保険の特別加入制度について、簡単にふれておきます。

労災保険は、本来、日本国内で労働者として事業主に雇用されている人が対象です。

会社(事業主)に雇われていない人や、海外勤務の人は、対象外となります。

一方で、業務の実態や、災害の発生状況から、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人については、一定の要件の下に、労災保険に「特別」に加入することを認めています。

それが、労災保険の特別加入制度です。

特別加入者は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別され、それぞれその加入者の範囲、加入要件、加入手続き、業務上外の認定基準などが定められています。

自転車配達員は「一人親方等」の制度に追加(労災則第46条の17第1号の拡大)となり、ITフリーランスは「特定作業従事者」の制度に追加(労災則第第46条の18第8号の新設)となります。

🔎 特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-6.html

🔎 特別加入制度のしおり(特定作業従事者用)|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-8.html

2.特別加入の効果(メリット)

労災保険に特別加入により、業務上の傷病・障害・死亡などに対して、保険給付を受けることができます。

主な給付としては、以下の4つです。

●負傷・疾病等の治療をするとき

「療養(補償)給付」
業務災害または通勤災害による傷病について、病院等で治療する場合に、必要な治療が無料で受けられます。

●負傷・疾病等で休業をするとき

「休業(補償)給付」
業務災害または通勤災害による傷病の療養のため労働することができない日が4日以上となった場合、休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額に応じた給付金が支給されます。

●障害が残ったとき

「障害(補償)給付」
業務災害または通勤災害により障害が残った場合に、障害等級に応じて、年金または一時金が支給されます。

●死亡したとき

「遺族(補償)給付」
業務災害または通勤災害により死亡した場合に、遺族に、年金または一時金が支給されます。

何かあったときは、手厚い補償を受けることができます。

3.特別加入の手続き

自転車配達員やITフリーランスが労災保険に特別加入するには、特別加入団体への申し込みが必要です。

特別加入団体は、以下の厚生労働省のサイトに「特別加入団体一覧表」として掲載されています。

🔎 労災保険への特別加入|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu.html

都道府県労働局に問い合わせをして、教えてもらうことでもよいでしょう。

🔎 都道府県労働局所在地一覧|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html

手続代行を依頼する特別加入団体が決定したら、あとは特別加入団体の案内に従いましょう。

多少煩雑なことはありますが、手続きに迷うことはありません。

4.特別加入の保険料

特別加入保険料は、給付基礎日額に保険料率を乗じた額となります。

給付基礎日額とは、特別加入保険料や保険給付額の計算の基礎となるものです。

給付基礎日額は、3,500円から25,000円までの16段階。

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どの日額とするかは、加入者本人が選択し、希望額に基づいて、都道府県労働局長が決定します。

給付基礎日額が低ければ、保険料は安くなりますが、その分、給付額も少なくなります

どのくらいの給付基礎日額にするか、保険料と給付のバランスが大事です。

自転車配達員と、ITフリーランスの保険料率は、以下となります。

自転車配達員🚲 1.2%

ITフリーランス💻 0.3%

保険料率は災害リスクに応じて設定されますので、当然、自転車配達員の方が高くなります。

例えば、自転車配達員が給付基礎日額1万円で労災保険に特別加入した場合、年間の保険料算定基礎額は365万円。

年間の保険料は、保険料算定基礎額に1.2%を乗じた43,800円となります。

1回の配達が400円だと、約100回分の料金。

安くはない、安心料です。


(参照)

🔎 令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1_00001.html

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以上

written by sharoshi-tustomu

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