月末休めば社保免除?育休中の社会保険料免除要件の見直し(2022年10月改正)

厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は12.65%まで上昇しました。

一方で、育休期間が5日未満の取得者の割合は28.33%で、実態は超短期の取得者が相当数いることがわかります。

男性の育休取得月は、賞与の支給月に集中します。

その理由は、シンプルです。

賞与支給月の月末に育休取得をしていれば、当該月の給与の社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)に加え、賞与分の社会保険料も免除されるからです。

本人負担のみでなく、会社負担も免除され、労使双方にメリットがあります。

ですが、育児休業中の社会保険料免除要件の見直しにより、1か月以内の短期間の育休取得は賞与の社会保険料免除は対象外となります。

今回は、2022年10月から施行される「育児休業中の社会保険料免除要件の見直し」について、確認しましょう。

1.給与における免除要件の見直し

現行制度では、育休中の社会保険料免除は、⽉末時点で育休取得している場合に、当⽉分の社会保険料 (健康保険・介護保険・厚生年金保険) が免除される仕組みです。

🔎 育児休業期間中の保険料免除|日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/index.html

根拠条文となる「健康保険法」と「厚生年金保険法」の規定を確認しましょう。

(健康保険法第159条)
第159条 育児休業等をしている被保険者(第159条の3の規定の適用を受けている被保険者を除く。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない

(厚生年金保険法第81条の2第1項)
第81条の2 育児休業等をしている被保険者(次条の規定の適用を受けている被保険者を除く。)が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、前条第二項の規定にかかわらず、当該被保険者に係る保険料であつてその育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない

⽉末が基準点となるため、短期間の育休の場合、⽉末時点で取得しているか否かで社会保険料免除の対象となるか否かの不公平が発⽣していました。

2020年10月からは、現行の月末時点の免除要件に新たに同月内に開始日と終了日がある2週間(14日)以上の育休取得をしている場合も社会保険料免除の対象となります。

例えば、6/1~6/15まで、15日間の育児休業を取得した場合、同月内に14日以上の育児休業を取得しているため、6月分の社会保険料は免除されます。

🔷改正前の制度(2022年9月まで)

・⽉末時点で育休取得している場合のみ、当⽉分の社会保険料を免除する。

🔶改正後の制度(2022年10月以降)

以下のいずれかに該当する場合、社会保険料が免除されます。
・⽉末時点で育休取得している場合は、当月分の社会保険料を免除する。【従来通り】
・月内に2週間(14日)以上の育休取得をしている場合、当月分の社会保険料を免除する。【法改正】

給与での免除については、改正後も、従来の月末基準の制度は残ります。

企業の事務担当者は、月内に育休を開始し、月末前に育休を終了した者の育休取得日数が14日以上に該当するかを追加で確認しましょう。

2.賞与における免除要件の見直し

はじめに、男性の育児休業社会保険料免除の実態について、確認してみましょう。

厚生労働省の第135回社会保障審議会医療保険部会資料より、男性の月別の育休保険料免除の対象者数のグラフを抜粋します。

↓ クリックして拡大 ↓

夏季賞与と冬季賞与の時期に免除者が集中していることがわかります。

社会保険料の免除を主目的として育児休業を取得している男性が、相当数いることが想定できます。

法の抜け穴的な取得を抑制するため、賞与における社会保険料免除は、取得期間が1か月超の場合にのみ適用されることに変更されます。

例えば、6/1~6/15まで、15日間の育児休業を取得した場合、6月分の給与の社会保険料は同月内14日以上の要件に該当し免除されますが、賞与は1か月超の要件に該当しないため、免除されません。

🔷改正前の制度(2022年9月まで)

・賞与支給月の⽉末時点で育休取得している場合に、賞与の社会保険料を免除する。

🔶改正後の制度(2022年10月以降)

・1か⽉超の育休取得者に限り、賞与の社会保険料を免除する。

企業の事務担当者は、賞与支給月の月末時点の育休取得者について、育休期間が1か月超であることを確認しましょう。


育休中の社保料免除要件の見直しは、2022年10月1日以降に開始する育児休業に適用されます。

月末1日の育休取得により、賞与の社会保険料が免除されるのは、2022年の夏の賞与が最後となります。

以上

written by sharoshi-tsutomu